そうこう会話しているうちに市街から離れ、あっという間にあたりは田舎の風景に変わっていきます。すると、木之本さんは原本さんにカメラを持たせます。だいたい移動時間は助っ席の人が撮影する役。
原本「なぁ。あの鉄塔。真っ黒やない?」
突然、原本さんが僕らにいいます。
僕「暗いからそう見えるだけじゃないですか?」
原本「いやぁ。車のライトに照らされた時、黒に見えたけんさ…」
山道に入った時、原本さんがそんな事を言い出します。
木之本「カメラに映っとる?」
原本「まぁ。多分……」
そんな中向井さんは、
向井「○○(僕の名前)。俺寝るけん。着いたら起こしてや。」
と言って、夢の中へと入って行きます。
それから5分ほど山道を走ると、少し開けた場所へと出ます。しかし、その先の道は、とてもでは無いですが、狭く、車で行けそうにはありません。
木之本「しゃーねー。歩くか。」
原本さんがカメラを持ち、木之本さんが先頭で、懐中電灯を持って進んでいく。僕は真ん中で、向井さんは1番後ろで大きなあくびをしながら付いてきます。これまでは、アスファルトで舗装された道路だったのですが、ここからは砂利道になり、さっきとは雰囲気が全く違う。
木之本「あ、また鉄塔や。」
さっきまでは気づかなかったのですが、大きな鉄塔が姿を現します。木之本さんが懐中電灯で照らします。先程原本さんが言ったとうり。焼けたように真っ黒い。
原本「なんて言うか……妙ですね…」
風のせいかも知れませんが、黒い鉄塔は低い音を立てて、唸っている。
それから10分ほど歩くと、さっきより一回り大きい黒い鉄塔と、僕たちの目的地である、研究所。いや、正確には、廃研究所というか……
僕「ウソー。マジであった……」
向井「ないよりはマシだろ。もしこれでなかったら、違う心スポに連れてかれるんだから……」
木之本「よし。じゃあ○○(僕の名前)ちょっと近ずいて、入れそうなとこないか、見てきてくれ。」
毎回恒例の下見係に僕が選ばれます。
建物に近づく僕を、後ろから木之本さんが照らしてくれて、僕は小さなライトを手に持ち、進んで行きます。
近づいてみると、建物は意外と大きく、所々壁にヒビが入ってはいるものの、意外としっかりしている。
入れそうな所。と言われましたが、僕の目の前には一応扉はあるんです。しかし、その扉にはドアノブが付いていない。いや、正確に言えば誰かが強い力で引っ張ったせいでドアノブが取れてしまった。と言わんばかりの有様でした。これでは、
是非入ってくれ。と言っているようなもの。
僕はとりあえず、後ろを振り返り、頭の上で丸の形を作って先輩らにOKサインを出します。
木之本さん先頭で建物の中に入って行くと、学校の廊下くらいの幅の通路が広がっていました。
しかし、通路が二つに分かれているということで、
時間短縮と、撮影効率を良くするために、
僕と向井さんグループ。
木之本さんと原本さんグループ。
ってな感じで、二手に分かれて、捜索する事になり、僕は木之本さんにカメラを渡され、そこで木之本さんらと分かれ、捜索を開始します。
ドキドキ、ハラハラ面白かったです。