「ァァァー!!」

「ァァァー!!」

ふと最近体験した、怖い話をひとつ。
夜の11時前。文化祭の打ち上げの帰り、僕は友達ら4人と自転車を走らせていた。
人通りもあるわけがなく、しんと静まり返った夜道とは裏腹に、僕らは先程のテンションのまま、相変わらずワイワイしていたと思う。
しかしその時、

「ァァー…! ァァー…!」

どこからか、そんな甲高い声が聞こえた一瞬ビクッとなんて全員が静まり返ったが、すぐに友達の1人がそれを面白がって、

「ァァー! ァァー!」

と、先程聞こえた声と同じような甲高い声で叫んだ。するとそれに応えるかのように、

「ァァー…! ァァ…!」

と、どこからか甲高い声が聞こえる。さらにそれを面白がったのか、友達はその甲高い声の主と同じようなやり取りをした。2、3回したところで、もう1人の友達がこんなことを言う。

「なぁ。このァァーって声。近づいてきてないか？」

「そんなまさか」と、笑う僕らだったが、よく耳を澄ますと、タッタッタッタッと言う。よく子供が走り回る時のような足音が、だんだんと近づいて来る。そして、

「ァァァー!! ァァァー!!」

と今までで1番大きな声が聞こえた。

「やべっ!マジじゃん!」

「逃げろ逃げろ!」

と、僕らは口々に、自転車のペダルを強く踏み、その場から逃げ去った。その後僕らは、

「マジでやべーだろ(笑)」

「やべ、俺ん家あそこの近所なんだけど(笑)」

と、笑っていたが、本当はまだドキドキしている。

「じゃあお前らキ○ガイ野郎に気をつけろよ(笑)」

と言って、僕らはわかれた。
その後日、その近所に住んでいる友達から聞いたのだが、僕らが解散した次の日の朝。ゴミ捨て場で、包丁を持った男が住民複数人に取り押されられたらしい。

「嘘だろ。もしかしてアイツじゃねーの？」

「いや、そうなんだよ。俺も野次馬が気になって行ってみたんだけどさ。その取り押さえられてる男の叫び声と、俺らが聞いた声。どうも似てるんだよな…。」