愛なき子
投稿者:kana (210)
深夜、布団に入っているとやはりあの子が現れた。
ボクが寝ている布団に横からするりと入って来て、布団から頭を出してこっちを見ている。
もう何も怖くない。普通の幼児と何ら変わらないではないか。
ボクは幼子の霊に昔話をしてあやしてあげた。
親指をしゃぶりながら横になるその子の姿を見て、また涙が出そうになった。
これはたぶん、現世ではしたくてもできなかったことをしているに違いない。
・・・だが、これで本当に良いのだろうか。いつまでもこの世に未練を残して、こんなふうにしていて良いのだろうか・・・。疑問も湧いてくる。
そう思った時に、田舎の婆ちゃんの事を思い出した。
実はボクがまだ子供の頃に一度だけ霊に憑りつかれそうになったことがあり、
それを田舎の婆ちゃんが助けてくれたことがあったのだ。
「そうだ、この子を婆ちゃんに会わせてみよう」
ボクは週末、北海道へ旅立つことにした。
北海道N町には父方の実家があり、あまり頻繁には顔も出せないけど、
自分にとっては思い出の地だ。
いとこのイズルさんに電話して、実家に泊まらせてもらう許可を取る。
イズルさんは今は札幌に出向しており、実家は留守にしているそうだ。
出発前にシャワーを浴びて、その後何気なく体重を計ってみた。
ここ最近カロリーの高そうなものをドカ食いしているし、祭壇に備えられた食べ物もかたっぱしから食べている。どれだけ太ったかと思って見てみたが、なんと先週より5キロもやせている。気のせいか、あばら骨が浮いて見える。腹だけは丸く出始めていて、なんともこっけいな体型になりつつある。
ボクは餓鬼という妖怪を思い出していた。
とにかく常に飢えていて無分別に食べ物をあさる。体は骨と皮ばかりなのに、腹だけは丸く出ていて人の肉も食べるというそんな妖怪だ。
・・・身震いした。もしかして、これは少女の霊と関係があるのではないか。
とにかく北海道へ行って婆ちゃんに見てもらおう。
羽田の飛行ゲートを通る。
ボクの時だけゲートがピンポンピンポンと鳴る。それはそうだろう。
他の人には見えていない子供の霊が、ボクの周りを行ったり来たりしているのだ。
チケットは本物なので、エラーと言う事でボクだけ手動で通されて飛行機に乗り込む。
まさか子供が一人多く乗ります・・・とも言えまい。
・・・・・・
何年ぶりだろう。もう10年以上になるかもしれない。
久しぶりに千歳空港に降り立った。
空港からバスを乗り継ぎ、1時間半ほどでN町に着いた。
画像貼り付けが…
切ないけど暖かくなるお話。すごく良かった。
これも施餓鬼供養の一種じゃないかなとも思う。主人公さんGJですよ。
↑kamaです。コメントありがとうございます。そうです。画像貼り付けまた失敗しました。これまでの経験から、話を書いてから張り付けるのと、貼り付けてから話を書いても長々とそこで読み返したり修正とかしていると失敗するみたいです。とほほ。
施餓鬼供養、確かにそうかもしれないですね。今回、餓鬼さんはきっと目を点にして、最後はホクホクの笑顔になって昇天したと思いたいです。
暖かいコメント、みなさまありがとうございます。
正直、泣けました。
↑kamaです。(*´▽`*)にっこり
泣けるのはストレスが溜まっていた証拠かも。
発散しちゃってください。
心の奥から何か感じる。暖かくてほっこりする
ホラーと感動を混ぜるって難しいと思うけどこれ最高。
もっと見たい
週刊ランキング入りおめでとうございます。
kamaです。
↑ありがとうございます。
↑↑難しいですよね。怪談朗読する人にとってはどーゆーテンションで語ればいいのか迷うかもしれないですね。
今後ももう少しだけ、いい感じのと、いい感じじゃないのとを織り交ぜて上げていく予定です。
お楽しみに。
幼子でも、愛を知れた事でしょう。
↑kamaです。コメントありがとうございます。なら天国に行く資格は十分ですね。
同情するなら「満足な食事」を与えてくれってことですね。
こんなことがあったら
そのうちkamaさんかお婆さんのどっちかの守護霊とかになっちゃいそうですね。
2ch名作物語【ゆっくり解説】がYoutubeでこの作品を動画化してるんだが、口の周りにご飯粒いっぱいつけた幼子がかわいすぎて萌えるw
kamaです。本日、大変好評をいただいてますこちらの「愛なき子」の前日譚とも言えるお話、「夏休みに田舎であったこと」(加筆修正版)を公開させていただきました。「愛なき子」の主人公が小学3年生の頃に体験した心霊現象のお話で、おばあちゃんの生前のお話にもなります。ネタバレ防止のために「愛なき子」を先に公開させていただいておりました。
両作品を読まれますと世界観が広がってより楽しめるかと思います。
tanuと申します。前日譚含め、読みました。おばあちゃんの優しさに感動、、、夏の北海道の風景(憧れます。行ってみたい)や、おばあちゃんの料理も目に浮かんでとても楽しめました!
↑kamaです。tanu様、遅ればせながらお礼申し上げます。両作品とも読んでいただき感謝です。
楽しんでいただけたなら幸いです。
ばあちゃんももう亡くなっていたって最後の方まで気づかなかった。
ばあちゃんもその子供も幸せに暮らしてて欲しい