愛なき子
投稿者:kana (210)
一瞬の驚きと恐ろしさはあったが、それが過ぎた後は只々哀れみが強くのしかかり、
自然と涙があふれて、彼女に許しを請うようにして手を合わせて土下座していた。
「どうか成仏してください、成仏してください、安らかにお眠りください・・・!!」
幼子の霊には、それが面白い姿にでも見えたのだろうか。ボクの方に近寄って来たかと思うと、なんと土下座して丸まっているボクの背中に乗り出したではないか。
「えっ?」
もしかして、お馬さんごっこをしてほしいんだろうか・・・。
ボクは訳も分からず、四つん這いになって歩いてみた。
「きゃは」
子供の笑い声がする。どうやら喜んでいるようだ。
「そ、そうか、遊んでほしいのか・・・よ、よし」
ボクはそこから馬の鳴きまねをしたりして、お馬さんごっこに付き合った。
・・・翌朝、ボクは居間のソファで目が覚めた。
子供の霊と遊んでいて、いつの間にかそのまま眠っていたようだ。
祭壇に置いていた菓子パンとジュースが無くなっている。
あの子が食べた?
・・・いや、薄っすらだが記憶にある。これは自分が食べたのだ。
深夜に貪り食うようにして食べたのだ。
「・・・あぁ、そういえば腹が減った・・・」ボクは普段は朝飯を食べずに会社に行くのだが、あまりの空腹にカップラーメンを作って食べた。
会社に行ってからも空腹がつづき、お昼は珍しく外に出て、こってり大盛のラーメンを食べた。これで満足かと思ったら、午後にはもうすぐにお腹が減って来た。
18時の退社時間。ダメだ、お腹が減って家まで持ちそうもない。
自分には珍しく、仕事帰りに飲食店に寄って外食して帰ることにした。
チャーハン、ギョウザ、トンカツ・・・まだ足りない。〆にラーメンを頼む。
おかしい、なんで今日はこんなに腹が減るんだろう。いくら食べても物足りない。
帰宅した。
マンション脇の祭壇にあるお菓子やパン、ジュースに目が行く。
これは女の子に手向けられたものだ。
そして女の子の霊はボクの部屋に出る。
だからこれらはボクが持って帰ってもいいはずだ。
そう思い、まだ食べられそうな新しいものを選んで持ち帰ることにした。
さっそくむしゃむしゃ食べながらマンションエレベーターに乗る。
画像貼り付けが…
切ないけど暖かくなるお話。すごく良かった。
これも施餓鬼供養の一種じゃないかなとも思う。主人公さんGJですよ。
↑kamaです。コメントありがとうございます。そうです。画像貼り付けまた失敗しました。これまでの経験から、話を書いてから張り付けるのと、貼り付けてから話を書いても長々とそこで読み返したり修正とかしていると失敗するみたいです。とほほ。
施餓鬼供養、確かにそうかもしれないですね。今回、餓鬼さんはきっと目を点にして、最後はホクホクの笑顔になって昇天したと思いたいです。
暖かいコメント、みなさまありがとうございます。
正直、泣けました。
↑kamaです。(*´▽`*)にっこり
泣けるのはストレスが溜まっていた証拠かも。
発散しちゃってください。
心の奥から何か感じる。暖かくてほっこりする
ホラーと感動を混ぜるって難しいと思うけどこれ最高。
もっと見たい
週刊ランキング入りおめでとうございます。
kamaです。
↑ありがとうございます。
↑↑難しいですよね。怪談朗読する人にとってはどーゆーテンションで語ればいいのか迷うかもしれないですね。
今後ももう少しだけ、いい感じのと、いい感じじゃないのとを織り交ぜて上げていく予定です。
お楽しみに。
幼子でも、愛を知れた事でしょう。
↑kamaです。コメントありがとうございます。なら天国に行く資格は十分ですね。
同情するなら「満足な食事」を与えてくれってことですね。
こんなことがあったら
そのうちkamaさんかお婆さんのどっちかの守護霊とかになっちゃいそうですね。
2ch名作物語【ゆっくり解説】がYoutubeでこの作品を動画化してるんだが、口の周りにご飯粒いっぱいつけた幼子がかわいすぎて萌えるw
kamaです。本日、大変好評をいただいてますこちらの「愛なき子」の前日譚とも言えるお話、「夏休みに田舎であったこと」(加筆修正版)を公開させていただきました。「愛なき子」の主人公が小学3年生の頃に体験した心霊現象のお話で、おばあちゃんの生前のお話にもなります。ネタバレ防止のために「愛なき子」を先に公開させていただいておりました。
両作品を読まれますと世界観が広がってより楽しめるかと思います。
tanuと申します。前日譚含め、読みました。おばあちゃんの優しさに感動、、、夏の北海道の風景(憧れます。行ってみたい)や、おばあちゃんの料理も目に浮かんでとても楽しめました!
↑kamaです。tanu様、遅ればせながらお礼申し上げます。両作品とも読んでいただき感謝です。
楽しんでいただけたなら幸いです。