学生時代、よくある六畳のワンルームで一人暮らしを始めた頃、たびたび見る夢がありました。
それは三十代くらいの髪の長い、土気色の顔をした女が、汗だくでベージュ色のキャミソールだけを身につけて、がくがく震えている夢でした。
そして誰かに左手首を掴まれ、内側に注射を打たれるのです。
その瞬間、女は白目をむいて大きく口を開き、さびたノコギリのような「キリキリキリキリ」という叫び声を上げるんです。
すると掴まれた左手首以外の体が、ぞうきんを絞るようにゆっくりとねじれてゆき、顔も体も倍ほどの長さまで引き伸ばされていくのです。
もはや人の形ではなくなるほどねじれると、そこから早送りのように逆巻きになって戻り、また手首を掴まれるところから始まるのです。
それを見ていると、姿形はまったく違うのに、繰り返されるうちにだんだんその女が自分のように思えてきて、いつも何度目かで注射を打たれた瞬間、左手首の内側に生々しい痛みが走り、そのたびに飛び起きていました。
あまりに何度も見るので眠ることが怖くなり、友人に話そうとも思ったのですが、その光景を口にすること自体が怖くて、誰にも言えませんでした。
そんなある日、友人が遊びに来ることになりました。
駅まで迎えに行き、おしゃべりをしながらアパートの前まで来ると、友人は突然黙り込み、暗い表情になりました。
ドアの前で鍵を出していると、
「ここ? 嘘でしょ」
と言って、なかなか入ろうとしません。
聞くと、友人には霊感のようなものがあるのだそうです。私は大丈夫だからと説得し、なんとか中へ入ってもらいました。
友人は玄関から細い廊下をゆっくり進み、私はその後ろ姿を見ていました。
すると友人は部屋を覗くやいなや、
「ああほらもう。いるよ」
と言って顔をしかめました。
そして振り返ると、
「ぞうきん絞ったみたいになった女が転がってる」























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。