俺は今、タワーマンションの2階に住んでいる。
「タワマンの2階なんて住む意味ある?」とネットでよく言われる、あの部屋だ。昔は同じタワマンの高層階に住んでいたが、もう二度と、あんな高い場所には住めなくなった。
あの夜、俺は仕事が早く終わって気分が良く、ベランダで鼻歌を歌いながら洗濯物を干していた。タオルを広げ、シーツをパンパンと叩き、ワイシャツの襟を丁寧に伸ばす。「今日は冷えるな〜」なんて呟いていると、上の階から声が聞こえてきた。
低く、くぐもったような男の声。何を言っているのか全く聞き取れない。ただ、妙に切羽詰まった、こちらを呼んでいるような響きだけが伝わってくる。
「……なんだ?」気になって手すりに掴まり、大きく上を見上げた瞬間——ドンッ、という重い衝撃と共に、何かが真上から落ちてきた。
人間だった。
両手を大きく広げ、俺が今干したばかりのシーツとワイシャツを必死に掴みながら、猛烈な速度で落下していく。バリバリと布が引きちぎられる派手な音がした。
その一瞬、目が合った。
顔は異様に青白く、目だけが狂ったように見開かれていた。
俺は腰を抜かしてへたり込んだ。這うようにして恐る恐る下を覗き込む。
しかし、遥か下の地面にぽつんと落ちていたのは、引きちぎられた白いシーツとワイシャツだけで、そこにいるはずの人間の姿はどこにもなかった。
その数日後、俺は高層階から逃げるように今の2階へ引っ越した。
あの時、あいつが掴んだのがシーツではなく、俺の腕だったら……。
そう思うと、タワマンの2階という、バカにされるほど低いベランダでさえ、未だに足がすくんで洗濯物すら干せない
























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