数年前のゴールデンウィークに、夫と北関東のある観光地へ旅行した時の事です。
連休中ということもあり、どこも賑わっていました。
私たちは日中、道の駅やアウトレットモールを見て回り、夕暮れ近くに宿へ着きました。
フロントでチェックインを済ませ、天井の低い廊下を抜け、じゅうたん敷きの階段を上がって部屋へ行きました。
夫はその日、少しお腹の調子が悪かったらしく、部屋に着くなりトイレへ直行しました。
私は少し大丈夫かなと思いつつも、窓から景色を眺めたあと、ベッドの真ん中に正座して、携帯で今日撮った写真を見返したりしていました。
しばらくして、手を洗う音がやみ、そろそろ出てくるなと思ったその時、
「うわっ」
と声がしたので顔を上げると、
苦い顔をした夫が立っていて、無言で手招きしていました。
私がベッドから下りて近づくと、今度は外へ出るよう手で合図しました。
そして一緒に部屋を出ると、夫はそっとドアを閉めたとたん、ずんずん歩きだしました。
「どうしたの」と声をかけましたが、「うん」とだけ言い、早歩きで進んでいきました。
何か見えたのだろうとは思いましたが、その時はそれ以上聞かず、私も黙ってあとを追い、階段を下りました。
そしてフロントへ戻ると、夫は受付の人に何か話し、そのまま部屋を代えてもらいました。
新しい部屋に移ってから話を聞くと、
三十人ほどの焼け焦げた人々がベッドをぐるりと囲み、私をのぞき込んでいたそうです。
ダブルからツインにはなりましたが、妙にあっさり部屋を代えてくれたことを思うと、何かあった場所だったのかもしれません。






















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