これは十代の終わり頃の話なんですが。
当時、私は友人のノリ君と、一つ上の先輩でケンさんとよく遊んでいた。
ケンさんは無類のバイク好きで、遊びに行くと必ずと言っていいくらいに、ガレージで愛車の手入れをしていた。
そんなケンさんが私たちの相手をしてくれる訳はなく、軽く挨拶を済ませたら、ガレージの二階にあるケンさんの部屋に勝手に上がりこむというのが一連の流れ。
そんなある時、いつものようにケンさんの家に遊びに行くと、バイクの手入れをしていたケンさんが、
「ちょっと、お前らに見せたいものがあるんだ。まあ、上がれよ。」
と言って、その辺に置いてある汚れたタオルで手を拭きながら、ケンさんは私とノリ君を部屋に案内した。
部屋に入ると、ケンさんはビデオカメラを取り出す。
「実はさ、この間、海辺の廃墟に行ってきたんだよ。」
海辺の廃墟というのは、まあ、その名の通りで、海岸沿いを走る県道の脇にある、平屋の廃墟のこと。
当時は怖いもの見たさと言うか、無鉄砲というか、危ないとされるものに魅力を感じ、心霊スポット巡りが流行っていたのだ。
ケンさんはカメラからDVDを取り出し、プレイヤーにセットすると
「せっかく行くんだからさ、カメラで中を撮影してきたんだよ。んで、まだ映像を確認してないからさ、これから一緒に見ようぜ。」
そういって、ケンさんは愛用の座椅子に腰掛けた。
「え、ケンさん一人で見るの怖いんすか?」
ノリ君が茶化したところで映像が始まった。
「うるせーな。愛車の手入れに忙しかったんだよ。黙ってみとけ。」
映像に目をやりながら、軽口の相手をするケンさんをよそに、ノリ君は私の横で歯を見せながら笑い声を殺している。
映像は廃墟の目の前から始まった。
やけに暗くて、周辺の全容が掴めない。
「やっぱ、暗かったか。夕方近くなんだけど、カメラだと映り方変わるな。」
廃墟の周りには雑草や木の枝が伸び、その間からわずかな日の光が差し込むに過ぎなかった。
カメラは廃墟の周辺を映すように、右に左にと動いている。
建物自体は古い公営住宅によくあるような、平屋の一軒家だ。
見た目がちょっと古く、トタンが錆びているくらいで、ひどく朽ちたりしている訳ではない。
私たちの間では、何となく廃墟って呼んだ方が物々しい雰囲気がするから、勝手にそう呼んでいた
だけだった。
映像は玄関ドアへと向かって進んでいった。
ドアに鍵はかかっていないようで、すりガラスの小窓が付いたドアがガチャリと開く。
室内が映った瞬間、目の前に大量のほこりが舞う。
それを払うように、ケンさんの手が映りこんだ。
カメラの前が落ち着くと、懐中電灯を取り出し廃墟内を照らす。
弱々しい光に照らされ、少し窮屈な玄関から続く廊下が映し出された。
玄関からまっすぐ行った先は台所だろうか。シンクのような金属が鈍く光を反射している。
天井を照らすと蜘蛛の巣がひどく張られていた。
ケンさんが何か文句を言っているような声が入っている。
























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