父が経験した本当の話です。
職場の忘年会で父が同じ部の同僚たちと、ある温泉場に泊まりに行きました。
昭和の中ごろはこんな忘年会も当たり前。仕事を切り上げて、温泉に入り宴会をする、そんな優雅な流れです。
その日は欠勤者もなく全員で温泉旅館に向かいます。乾杯や余興も終わり会も中盤に差し掛かった時、父はある事に気がついたそうです。Aさんがいないと。
どこを見ても、探してもAさんの姿が見えないのです。気になって他の同僚に尋ねると、あっちだよ、と指を刺すそうです。しかし、父にはその姿が見えないのです。
何か不思議な予感がしながらも、勘違いかなと思い、しばらくして、また、他の同僚に尋ねると、同じようにあっちだ、と指を刺すのだそうです。
目を凝らしても姿か見えず、酔っ払っているからかな、と思ってまたお酒を飲み、その日は夜中まで飲んで眠りについたのだとか。
そして、翌朝の朝食ではAさんの姿が見えるのです。疲れたせいなのかな、そんな風に思った数日後、Aさんが亡くなったという知らせが入ったそうです。
父は、人生で一度きりの虫の知らせではないか、と言うのですがあの日、父以外にAさんが見えなかった、という人はいないのだとか。少し不思議な話です。
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Aさんの死を予知していたのでしょうか?