四つ葉のクローバー (加筆修正版)
投稿者:kana (210)
クローバーはまだしゃべり続けます。
「ずっと昔、人間の死体を入れる棺桶の中に一緒に詰め込まれてね。血の味を覚えたのはそれが最初。お嬢ちゃんのおかげで久しぶりに人の血を吸えたよ。ありがとう、生き返ったよ」
「お礼にひとつ、お嬢ちゃんの望みをかなえてあげるよ。もし、お嬢ちゃんがこれから生きていく中で、コイツを殺したい!なんていう憎いやつが出てきたら、ボクのことを思い出して念じるんだ。そうしたらボクが代わりにそいつを殺してあげるよ・・・そうそう、殺せるのは1回だけだからね、この権利は大事に使うんだよ」
「えぇ~・・・」
別に殺したい人がいるわけもなく、なんだかがっかりしながらそのクローバーの話を聞いていましたが、やがて私は貧血からなのか、救急車の中で眠ってしまいました。
気が付くと私は病院のベッドの上で麻酔もせずに先生に傷口を縫われていました。結局入院することもなく迎えに来た家族と一緒に家に帰りました。クローバーはいつの間にか手から消えていました。
あのクローバーの変な声はきっと夢だったんだろう、
と、その時は思っていたのですが、それからというもの、
私には植物たちの声が聞こえるようになったのです。
庭の花や雑草たちの声、それに野菜たち。
クローバーみたいにたくさんしゃべるやつはそんなにいないけれど、
野菜たちを生で食べる時はみんなキャーキャーと悲鳴をあげるのです。
私はそれがおもしろくて、生野菜のサラダをたくさん食べるようになって
大人たちから褒められることが多くなりました。
周りの子たちは野菜嫌いが多いみたい。みんなには野菜の声が聞こえないからだろうなと思っていました。逆に野菜好きの人に出会うと「あっ、この人、もしかして野菜の叫び声が聞こえてるのかしら」なんて、そんな風に疑っていました。
さてそんな私ですが、今はキリスト教系ミッションスクールに通う女子高生です。
一度だけ、学校のグラウンド横の雑草の中から、やつの声がしたことがあります。
そこには四つ葉のクローバーがいました。
「やぁ、お嬢ちゃん。大きくなったね。まだ殺したいやつはいないのかい?」
それで私はこう答えました。
「そうねぇ・・・でも1回しか使えないんでしょ? じゃあ今はまだいいわ」
そう言って四つ葉のクローバーを踏みつぶしました。
「誰か一人を殺せる権利」という悪魔のカードを持ったまま、
神に祈りをささげる学校に通っているなんて、罪が深すぎるでしょうか。
願わくば、一生この権利を行使せずに過ごせればいいな、と思っています。
kamaです。本当に画像を付けるのができなくて、スイマセン。とほとほほ。
Kama先生、もしかしたら「何もの」かが画像の貼り付けを邪魔していると思います。考え過ぎですかね?
↑kamaです。怪談より怖いです。助けてください~~
画像が無くてもじゅうぶん話が面白いのでオッケーです笑
↑kamaです。そう言っていただくと大変ありがたいです。