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心霊

すだれさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

黒い穴、白い影
長編 2022/11/19 19:55 3,848view

同郷の友人が、随分と昔に体験した話だ。

「自分たちがガキの頃ってさ、あんま家でジッとしてなかったじゃん。今みたいに外がクッソ暑いって程でもなかったし」
「ゲーム機を持って外の公園なんかに集まってたな。懐かしい」
「学校もさ、施錠甘くて普通に入れたしな」
「まあ、そういう時代だったな」

友人も近所の子らとゲームやお菓子を持ち寄って集まり、遊んでいたらしい。住んでいる地域に子供は少なく、ほぼ顔見知り。性別や学年も特に気にせず遊んでいた。
そんな子供たちのたまり場というか、集まって遊ぶ人気のスポットというのは近所に点在していた。友人の近所で学校や公園の他に穴場だったのが、学校の裏山にあった社と鳥居だけの神社。

「ちょっと高い山の中にあったからさ、頭上は覆い被さるみたいに木の枝が伸びてて、日陰はすごく涼しかったんだ。広さも程よくあって、よくそこで遊んでた」
「学校の裏…ああ、あそこか。あの神社って管理人いたっけ?」
「どうだろ…。まあ、いたんじゃないかな。見たことは無かったけど。花瓶だけやけに新しかったりしたから」

「…なるほど」
「あれ、お前行ったことない?あの神社。地元だったじゃん」
「一度だけ、友人と雨宿りに寄ったな」
「珍しい。そういう古びた神社の探検とか好きそうなお前が一度だけだなんて」
「神社や寺といった場所がどうも苦手で…公園で遊んでた」
「案外神サマや仏サマがお前を拒否ってたりしてな」
「まあ、可能性は無くもないな」
「えっ」
「それで、その時も神社で遊んでたのか」
「ああ、そうそう」

誰からともなく集合をかけて、適当な人数が集まったら神社へ向かい、思い思いに時間を潰す。集まる顔ぶれも日によってバラバラ。友達の友達や兄弟も集まって、初対面でも特に挨拶をするでもなく自然と会話を始めて遊びの輪に溶け込んでいく。当時自分たち子供が集まって遊ぶ、という雰囲気はそれほど緩いものだった。
だから、知らない子や初対面の子がふらりと混ざっていても、みんな特に抵抗なく遊んでいた。

「年長さんくらいだったかな、クラスメイトの妹だった。そのクラスメイトとは普通に仲良かったんだけど、妹ちゃんと遊ぶのは初めてだった」

クラスメイトいわく所用で家を空ける親から面倒を見るように頼まれたのだと。
内向的な性格で人見知り気味な妹だったが、初対面の子供と遊ぶのに慣れてた友人や他の子供は抵抗なく構い倒し、妹は途中からは輪に混ざって楽しそうに遊んでいた。

「クラスメイトが他の子とゲームに熱中してる間とか、その妹ちゃんとボール遊びしたりしてな」
「面倒見がいいな」
「同じ場所で遊んでるんだから、楽しい方がいいじゃん」

神社は鳥居を潜った先が社と広場になっている。社は南京錠が嵌めてあり、覗いて見える範囲しか中はわからない。その社の目前の境内はそれなりにスペースがあり、大抵の遊びはできた。そして妹と友人が跳ねたボールを追った先、境内の端からは、自分たちの住んでる地域が一望できた。

「神社自体がちょっと高い山にあったからな」
「一望って言っても学校の裏っ側や田んぼと畦道ばっかでいい景色では無かったけど」
「まあ、田舎だとそんなモンだろう」

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