落ちていたメモ
投稿者:八尺マン (49)
長編
2022/08/06
17:01
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このばあさんは俺に手厳しく、まともに返事してくれたことは一度もない
前に夜中に聞こえてくる音の件で話しかけたこともあったのだが、その時も完全無視だった
多分、俺が若者ってことで避けられているのだろう
それはこのばあさんだけじゃない
他の住民はもう少しは交流してくれるが、やはり親しげというわけではない
俺一人の力でこの問題を解決することはできなさそうだ
俺は思い切って管理人のおじさんに、このことを話すことにした
管理人のおじさんはマンションの隣の一軒家に住んでいる方で、この人はちゃんと話せる人だ
「そんなことがあったんですか。わかりました。私の方から住民全員にそれとなく声をかけてみますよ」
メモの話をしたら、そう言って対応を約束してくれた
俺はほっとした
とりあえず、やるべきことはやった
それからまた数日後
帰ると、また外廊下に紙切れが落ちていた
俺は思わず後ずさってしまったが、この前、管理人のおじさんが対応すると言ってくれたことをすぐに思い出した
きっと、もう自殺を連想させるようなものは書かれてはいないだろう
俺は紙切れを拾い、中身を確認した
そこには、ただこう書かれていた
捨てたもの
自分の身体
真っ赤な字で大きく書かれていた
「うああ!!」
俺は叫んでしまった
何だこれ?
何だこれ?
意味が分からない
捨てたもの 自分の身体って
どういう意味だ?
まさか、自殺が成功して自分の身体を捨てたってことなのか?
いやいや、そんなまさか
この話は怖かったですか?
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