「何今の?なんか居たよな?」
Aは事態を把握したように俺の肩を叩き、Bは何か偶然変なものを見てしまった野次馬の様に周囲を見渡す。
俺は背中からあの子供が覗き込んでいた気味悪さから背中をベタベタと触って確認してみたが、特に何もないので一安心する。
しかし、あの子供は何だったのだろうか。
「お前らも見たん?」
「マジビビったわ、お前の後ろから覗いとったよ。お前きづかねえし」
Aの話では、俺が廊下に出て暫くした後にAは正気に戻って顔を上げたらしいんだが、その時にちょうど俺がガラス前に立っていて、その後ろからにょきっとあの子供が顔をせり出してきた。
その事に俺が全く気付かないでボーっと部屋の中を覗いていたからAなりに「逃げろ」とか「後ろ!」と身振り手振りで俺に伝えてくれていたらしい。
勿論、俺が理解するのが遅すぎたわけだが。
因みにBは子供までとは認識できず、何か禍々しい人のシルエットの様なものが見えたという。
その後、俺達はカラオケをするモチベーションもなくなり、退室時間を残しながらも会計を済ませ出て行った。
これまで何度か訪れた馴染みのカラオケ店だったが今回の体験は初めてだ。
あれが霊体験とか言うやつなのだろうか。
この日以降特に何も心霊現象なんぞ無かったが、俺達は二度とあのカラオケ店に行かないと決めた。
余談だが、数か月後にこの出来事を懐かしむ事があったので会話の流れであの時Aがどうして放心していたか聞いてみると、
「近くで見たら鼻から下が無かったから」
とあっけらかんと答えてくれた。
カラオケボックスって幽霊でるところ多くない…?
いや、それな?怖すぎて一回しか行ったことないんだよね( ;∀;)
心霊体験はしなかったけど、カラオケボックスは賑やかで楽しそうにしているから霊たちが
寄ってくるんだと思う。あくまでも私の予想だから。