雪が降り注ぐ寒い夜。
窓の外に散らつく淡く美しい氷の結晶を眺めていると、
去年の冬の出来事を、
そして、ある先輩の事を思い出します。
ふと寒気を感じ、私は部屋の電気ストーブの強さを上げました。
…家の中には、誰もいません。
私以外は、誰もいません。
街に灯る温かい光や、テレビから流れるクリスマスソング。心躍る人の喧騒。
どれもが私にとって、懐かしいものです。
…去年の冬。あの先輩は、今の私と同じ気分を感じていたのかもしれません。
そんな思いを、私は抱きます。
『綺麗な時だけ思い出して、涙に溺れる。たまにはそれもいい。』
これは、誰の歌の歌詞だったっけ?
もう思い出せません。
だって、孤独の果ての涙など、もう枯れ果ててしまったのだから。
…
…
…
…
…
一年前。
これは、私の会社に勤める、ある先輩の話です。
その先輩は、とても真面目な人でした。
仕事も正確で、後輩の面倒見もよく、
私も入社した頃はその先輩によくお世話になりました。
上司の信頼も得ていて、
成果もそれなりに挙げていて、
上司の補佐役を任されていて、
会社にも同僚にも、私にとっても、必要な人材でした。
…ところが、その先輩には、少し変わったところがありました。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 8票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。