廃屋で鬼ごっこ
投稿者:赤壁二世 (13)
テレビ番組とかネットの流行、動画サイトの面白い話を語らいながら遠足気分で進んでいくと、草木の茂りが減っていき視界が開けた土地が見える。
全員で手に持ったライトで前方を照らすと、一軒の廃屋を始め、まばらにちらばった廃屋がいくつも連なり、ここが一つの集落だということがわかった。
Bがスマホを取り出し到着した記念撮影だと言い、俺とAとCは廃村を背景に三人棒立ちで並んでカメラに顔を向ける。
「もっと楽しそうにしろよ」
スマホのライトが眩しくて目が開かない。
記念撮影もほどほどにし、俺達は一先ず近くの廃屋の中を覗いてみた。
外観からでもわかるほどのこじんまりとした二階建て一軒家。
ただし、随分と朽ち果てた外壁と割られた窓。
俺達のような連中が悪さしに来たんだなと瞬時に悟った。
割れた窓から覗いただけでもガラス片やら何やらの欠片が床に転がっていて、とてもじゃないが土足でも入る気分になれず、俺は周辺を散策するだけにとどめた。
でも、Aだけは一人中へと侵入して骨組みが露出した箪笥の引き出しを開けたりしていた。
他の民家も似たような感じで、基本的には外壁が穴ボコだらけで中はゴミが散乱している状態。
その内の何軒かはカラースプレーで落書きされている家屋もあった。
下調べによれば、この廃村の通りを進んだ小高い土地に閉館した古民家がある。
道中、他の民家を見物しながらの移動だったせいで、どうにも時間がかかってしょうがなかったが、時間はたっぷりあるから焦りもない。
なにせ泊りがけでここへ来たんだ。
集落を抜け再び鬱蒼と茂る山道を抜けた先に、目的だった古民家の全容を見た。
当時宿泊施設として営業していた名残りか、古来の和風建築に手を加えて、旅客が来ても見劣りしない現代的な玄関口なんかが取り付けられている。
小さな公民館ほどの外観は、俺が予想していたよりも大きかったが、今となっては当時の面影もなく蔦や苔に覆われていて時の流れの残酷さを感じた。
玄関口のガラス扉には、施設でよくある円盤状のドアノブにはチェーンが巻かれていたようだが、既に工具で切断されていて無惨にも床に転がり役目を果たしていなかった。
玄関を抜けた先は、床張りを撤去し大勢を迎えることのできる土間として広く間取りをとっていて、土間を抜けると一段敷居が高くなり板張りの床が広がっていた。
中に入ると、張り詰めた空気が外気温よりも低く感じさせ背筋を震わせる。
非常灯一つない完全な闇の中で俺達の持つライトのみが光源となり、歴史を刻んだロビーを照らした。
「意外と広くね?」
「どうする?」
「とりあえずカウンター入ろうぜ」
かつては旅客が寛いでいたであろう長椅子や彩を添える目的で配置された観葉植物などの残骸を通り抜け、正面にあるカウンターの奥に見えるこじんまりとした従業員の作業フロアへ足を踏み入れる。
数台のデスクの上には散らばった書類やファイルケースがあり、埃被った文房具が乱雑に投げ捨てられている。
フロアの隅には金庫のようなものが置かれているが、パールでこじ開けたのかへしゃげた扉がだらしなく開いていた。
時代の流れを感じつつも、とくに目ぼしいものもなく、俺達は再びロビーへ出て次の予定を立てる。
妖怪化した霊とかかな
面白かったです
小説読んでるみたいで面白かったです
創作だろうけど、なかなか鬼気迫るものがあり、読ませる話だ。
現実問題として、廃屋に無断で入ると不法侵入になるので注意が必要。どうしても入りたいときは自治体の許可(特殊な見学)を取って、昼間に探索するのが得策。大抵は許可が下りないが、うまく行けば下りることもある。
しかし、廃屋廃墟探索は素人はやるべきではない。
情景が詳しく書かれていて想像しやすくて面白かった
押し入れの話の中でも面白かった