廃屋で鬼ごっこ
投稿者:赤壁二世 (13)
「一階から探検するか?」
「左回りで一周したほうが早くね?」
前者はBの提案で、一階から一部屋づづ見て回るというもの。
後者はAの提案で、廊下の両端に階段があるとわかり、左回りで一階から二階に上がり、再びここへ回ってこようというものだった。
建物自体も二階建てだったから俺もAのプランが無駄も省いていて楽だと思い一票入れた。
Cはこの中では一番怖がりだったせいかどっちでもよさそうだったので、結局Aのプランに決まった。
といっても廊下はそこそこ奥行がある。
いったいワンフロアにいくつ部屋があるのかと想像するだけで骨が折れそうな作業だった。
一通り内装に目を向ければ、改装しているのは正面口やロビーの内装、従業員の居座るカウンタースペースといった顔部分だけで、廊下や部屋周りは古民家の形をそのまま残しているようだ。
俺達は、手始めにロビーに隣接する大広間へ入ってみると、百人は騒げるであろう和室があり、縁側を挟んだ先に庭園が見えた。
今となってはただの草木が成長した自然界そのものの庭園を見て虚しく思いつつも、俺達は廊下の向かい側の扉を見る。
扉を開けると簡素だが折り畳みテーブルとパイプ椅子がいくつか揃えられていて、壁際にはロッカーや破れた二人掛けソファがある。
「従業員の部屋とかかな?」
「ぽいね」
ここもとくに感慨もなく後にした。
それから配膳室やら調理場、トイレなど見回った。
何れも砂埃にまみれ触るのも憚れるような汚さで怖いというより不潔だなと感じたが、トイレだけは雰囲気もあり真の意味で怖かった。
そして、廊下の端に行き、腐食しているのか今にも床が抜けそうな階段を一思いに抜けた。
廊下をライトで照らせばほとんどの部屋を客間が占めているようで、等間隔で襖があるのが見える。
一階と違うのは廊下の軋みも強めということもあった。
全員が果たしてこの廊下が体重を支え切れるのかと疑問に思った事だろう。
手前の襖をあけると十畳ほどの和室が広がり、思わず俺は窓辺に釘付けとなった。
というのも、月明かりに照らされる形で宙ぶらりんとなった人影が視界に飛び込んできたからだ。
「うおっ」
短い悲鳴を上げたことで三人が振り返る。
「どした?」
Aがニヤニヤと笑みを浮かべていたのがうざかったが、どうやら三人には今の人影が見えていなかったようだ。
人影は瞬きするより早く消失しており、三人に説明しようにも信じてもらえないと思った俺は、ただ「蜘蛛の巣に引っ掛かったわ」と誤魔化した。
押し入れの襖は誰かが殴ったように穴が開いていて、ライトで照らせば中に収納されているズタボロの布団一式が姿を現す。
その際、人の目のような物体が瞬きする錯覚を覚え、俺は今度は声を出さなかったものの目を丸くしてビックリしていた。
妖怪化した霊とかかな
面白かったです
小説読んでるみたいで面白かったです
創作だろうけど、なかなか鬼気迫るものがあり、読ませる話だ。
現実問題として、廃屋に無断で入ると不法侵入になるので注意が必要。どうしても入りたいときは自治体の許可(特殊な見学)を取って、昼間に探索するのが得策。大抵は許可が下りないが、うまく行けば下りることもある。
しかし、廃屋廃墟探索は素人はやるべきではない。
情景が詳しく書かれていて想像しやすくて面白かった
押し入れの話の中でも面白かった
うわー怖い
今までで一番怖い話だったかも