白装束の集団
投稿者:赤壁二世 (13)
俺はフリーターなんだが、それなりに茂った森林が覆い尽くす峠を抜けた隣町のファミレスに務めていて、毎回車で移動している。
交通費も出るし当時にしては時給も高く他の従業員の質も悪くないという居心地の良さから、たかだか数キロの距離なんか苦にならなかったんだが、今日、俺は通勤中に奇妙な集団に出くわした。
この峠は夜八時以降から極端に車通りが減る為、街灯が無いせいで自然光以外真っ暗闇。
それでも俺みたいな人種が偶に利用する程度の閑散とした山道なんだが、今日は違った。
俺がいつも通りカーナビをつけて鼻歌まじりに道を進んでいると、突然、ナビがフリーズしたように固まった。
車自体が親から引き継いだ軽自動車なので年期も入っている事から故障だと思い、俺は適当に操作しながら「買い替えかなぁ」なんて呑気に運転を続けていた。
暫くすると、一層暗闇に閉ざされた様な道が見えて来て、俺は何も考えずにそのまま突っ走る。
ただ、いつも利用しているのに「こんな道だったっけ」とか、俺自身なんか曖昧な記憶のまま進んでいた。
そして、暫く進んでいるとどうやら道が入り組んでいき、山を登っている事に気付いて、俺は少し不安に駆られた。
と言うのも、この峠は本来舗装された道路の一本道で、緩やかな勾配を中腹まで登った後は下るだけの道のりだ。
しかし、いつもの感覚から距離的には既に中腹に差し掛かっている頃合いだが、どうにも上り坂が終わる気配がない。
もしや道を間違てしまったか?。
だが、そもそも一本道でどうやって道を間違えるというのか。
俺は言い知れぬ不安を抱きながら、カーナビが動かないものかと操作を続けていた。
そんな折、手入れのされていない雑木林に囲まれた一帯に抜け出ると、俺は急ブレーキをかけた。
「はっ?」
そして俺は素っ頓狂な声をあげる。
何故かと言えば、こんな辺鄙な山奥の脇道に白装束を纏った十人くらいの集団が佇んでいたからだ。
その集団は頭に「こけし」に似た巨大な被り物を被っていて、全員がまさにこけし宛ら道脇に疎らに佇んでいる。
白装束にこけしの被り物。
この組み合わせの本意は分からないが、俺はこの集団が異常者である事はすぐに把握した。
すぐさま車をバックさせて方向転換を試みるが、俺が車を後退させるのとほぼ同時に、その集団がこぞってこっちに走り出す。
「うわっ、わっ」
俺はパニック映画に迷い込んだかのように恐怖心に駆られて声にならない悲鳴を上げながら何とか方向転換すると、その勢いに乗って来た道を走り出す。
その際、ルームミラーやサイドミラーで後ろを確認したが、あの集団は車に引き離されてはいるものの、追いかけて来るのが見えた。
だが、流石に人の足では車に追いつける筈もなく、少し車を飛ばしただけで集団は完全に見えなくなった。
少し進んだ先で停車し、後ろを振り返ってここまで追いかけてこないかと確かめたが、完全に暗闇一体となった周辺からは足音や物音が一切しない静寂に包まれてた事から、どうやら諦めたのだと安堵する。
ついでにカーナビの故障もどうにかならないかとボタンを操作したり軽く叩いたりしたがやはりこっちはどうにもならなかった。
一息ついてると、どうにも妙な視線を感じる。
俺は何気なく横を見るが、道路脇に生い茂る雑木林が広がるだけだ。
もしかしたらあの集団が追い付いたのかと思って冷や冷やしたが、杞憂に終わった。
無事に帰れたのでしょうか…?
パナウェーブみたいなものですかね…
若い人は知らないか(笑)
こんなやつら本当にいたら怖すぎる
通い慣れた通勤路でカーナビ使うかな…?
到着時間とか、渋滞情報とか知りたいので慣れた道でもナビ入れます。
あと、暗い山道だとちょっとでも音声がある方が眠気覚ましになったりとかも