廃屋で見つけた「みいちゃんのアルバム」
投稿者:with (43)
随分と古いセピア調の写真が挟まれていて、俺は写真の下に書かれた文字を読み上げる。
「…みいちゃん、三歳、だってさ」
おかっぱに近い女の子がカメラ目線で写っている。
その下には「みいちゃんの誕生日」と題目され、みいちゃんと思しき女の子の前とホールケーキに蝋燭が三本立てられた写真がある。
アルバムを捲っていくとどれもみいちゃんについての成長記録というか、想い出が綴られていた。
しかし、俺とBはある違和感を抱く。
「なんかどれも無表情つか、死んだ目してるな。なんかこえー」
そう、女の子はどこ写真においても常に無表情で、まるでこの写真を目にしている相手を見つめるようにまじまじとしていた。
心霊ビデオを見て心霊スポットと名高い廃屋に来て、その家の中で不気味な写真を発見する。
衝撃は薄いと思うが、まさに話のネタにはなるだろう。
この収穫物をみんなで見ようと思って、俺はアルバムを閉じて部屋を出ようとした。
ガタッ
大きな物音が聞こえた。
俺とBはほぼ同時にその音がした方へ体を向けていた。
俺達の視線は部屋から廊下を抜けた反対側のドアの向こうだった。
「あいつら二階来たんか?」
Bは、AかCが二階に上がってきたのだと考えていたが、どう考えてもあの軋みの強い階段を上ってきた音はしなかったと俺は首を振った。
少しの間沈黙しているとまたドアの向こうからガタガタと音が聞こえる。
「もしかして別の奴が来たんじゃね?ホームレスとか住んでんのかも」
Bが小声で俺にささやくと、俺も他の第三者が来ている可能性を考え、繰り返し頷いた。
肝試しにおいて一番危険なのはDQNと遭遇することだと聞くし、俺もBと一緒に息を殺してそっと部屋を出て廊下へ出る。
ドン!ドン!
廊下へ出ると音は激しさを増す。
というか、もろにドアを手で叩いているような音だった。
二人で「やべー奴いんじゃん」と青ざめながら顔を見合わせ階段まで向かうと、一階の踊り場にAが居て、
「おまえらうるせーぞ」
と呑気にスマホのライトを翳して見上げていた。
「しっ!俺ら以外に誰かいるっぽいぞ」
Bが口許に人差し指を立てて「黙れ」と言わんばかりの顔をしながら忠告すると、Aも察したのかハッとした表情になり、同じように人差し指を口許に立てた。
その物真似がちょっと面白かったので思わず噴き出した俺だったが、その背後で、
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