獄中死したとある老人の話
投稿者:ねこじろう (149)
「あのじいさん、最後まで自分の非を認めなかったな」
奥谷刑事がハンドルを操作しながらボソリと言った。
助手席に座る部下の新人刑事脇田が頷きながら口を開く。
「まったくですね。あれだけマスコミから叩かれてる間も裁判公判中も、一貫して認めなかったですよね」
「困ったもんだ、、、体の方はもうとっくにがたがきているというのに気持ちは若い頃のままなんだもんな。まあ俺も年とったらそうなるかもしれんがな」
「そんときは僕が先輩をこいつで楽にしてやりますよ」
そう言って脇田がジャケットの内ポケットの銃をチラリと見せた。
「ははは、お前に殺られるくらいなら俺は自分で自分を始末するよ」
奥谷は笑いながら前方の交差点に目をやる。
土曜日ということもあって脇の歩道を歩く人々もどこか浮足立っている。
時刻はもう午後五時を過ぎていた。
※※※※※※※※※※
事件があったのは、今から3年前のことだ。
その日は晴れ渡った休日で、現場だった東京都内繁華街にあるスクランブル交差点脇の歩道も家族連れやカップルなどで賑わっていた。
そんな活気のある和やかな雰囲気が数分後に地獄絵図と変わる。
赤信号で停車していた一台の乗用車が突然発進し、猛スピードで交差点内に侵入する。
車は十数人の歩行者を次々に無慈悲に跳ねた後も停車することなく走り続け、最後は前方のバス後部に衝突してからようやく止まった。
この事故で数人の死傷者が発生する。
亡くなった方の中にはまだ若い女性とその幼い子供もいた。
運転していたのは当時88歳の男性Sだった。
やっぱ、ねこじろうさんは神っすね
その悲惨な事件の無限ループですか
コメントありがとうございます
━ねこじろう