私が高校生だったころの話です。
学園祭の係を決めるための話し合いをしていました。
黒板に「受付」「買い出し」「大道具」などと係の名前を書き出し、希望する係に自分の名前を書き込み、
人数があぶれた場合はあぶれた人だけでまた書き直す、という方法で係決めをしていました。
うちの学校では定番のやり方だったのですが、
そうすると「こっそり名前を書かずに係をサボろうとする」人がでてきてしまうので、
全員ちゃんと書いたかどうか数を数えてから決定しなければなりません。
その日も黒板に書かれた名前をいつもどおり数えたのですが、何度数えても一人多い…。
たいていは一発で数が合うはずなのに。
仕方がないので時間はかかりますが、出席番号順にチェックをつけながら数を数えたところ、
クラスにはいない苗字が一つ残りました。
「え、怖い」
「どうして?」
「誰が書いたの?」
とクラスはなんとなく怖く、不思議な雰囲気になりましたが、
ホームルームの時間はそのせいで超過してしまい皆イライラしていたので、
あまり気にせず解散となり、皆そのことを次第に忘れていきました。
それから何ヶ月か経ち、今度は球技大会の参加競技を決めるため、
いつもと同じ、黒板に名前を書く割り振り方法をまたすることになりました。
すると、やっぱり何度数えても一人多いのです。
皆は学園祭の時のことを思い出し、同じように出席番号順にチェックをつけながら数えると、
同じように「あの苗字」が残りました。
最初の時は故意のイタズラだったかもしれませんが、
そのときは盛り上がるとかでもなく、皆帰りたくてイライラしていたし
皆すぐ忘れて話題になったわけでもないのに、2回目また同じことをする必要がありますか?
あのクラスには、本当にもう一人いたのかもしれない。
そのまま学年が上がり私はその教室から離れましたが、「あの苗字」の人がいま
あのクラスでどうしているのか、今でも時々気になります。
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