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心霊

わかめさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

「起きているんだろう」
短編 2022/01/05 12:01 967view
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これはある年の寒い冬の話です。

年末の忙しい時期に私は大掃除をしていました。寒いし面倒だとは思いましたが、母親に文句も言われ、いやいやながらも始めた作業でしたが、不思議なことにやり始めるとどんどんと気分が乗ってきて、積み重なった本や、小物の掃除、いままでやったこともないのに、ベッドの位置まで変えて念入りに掃除しました。
気分は晴れやかでしたが、その夜は疲労となれない作業にくたくたになりベッドに倒れこむように眠りにつきました。布団をかけて、体が暖まりウトウトしかけたころです。

ザッ、ザッ、ザッ、となにか砂利を踏むような音が窓の外から聞こえてきました。私の部屋は木造住居の二階部分です。庭や周囲に砂利道など覚えがあるものはありません。

「なんだろう?」と疑問に思いましたが、昼間の掃除で体はくたくたでしたので、まあ気のせいかTVの音漏れでもしているんだろう、と自分を納得させてまたウトウトと眠りにつこうとしました。心地よい眠りにつこうとしたその時、ザッ、ザッ、と音がだんだん外から近づいてくることに気が付きました。

「あっ、これはやばい」と思った瞬間に私の体は金縛りにかかってしまったようで、体が動きません。

ザッ、ザッ、ザザッ。砂利を踏む音が私のベッドの隣で止まりました。(やばいやばいやばいやばい)頭の中はパニックになりながらも体も動かず声も出すことができず、固まっていました。

隣に立つ人の気配は、ベッドの隣で立ちすくんで私を見下げるような形で止まっています。(これはたぶんやばい奴だ)今までに何度か金縛りや、怖い体験をしていましたが、本能で今までとはなにか違うことをうっすら感じていました。

(起きているのに気が付かれたらやばい、寝たふりをしよう)と思い、人の気配の隣で懸命に寝たふりをしていました。数分の間だったのでしょうか、私の気持ちではとても長い時間に感じましたが、・・ザッ、ザッ、ザッ、とその足音は私の寝ていたふりに気が付かなかったのか、またベッド横の窓の外に向かって歩き始めました。

良かった、気が付かれなかった、と胸をなでおろした瞬間。

「起きているんだろう」

人影がスッと移動してきて、私の枕の真横で腕くみしながら見つめてきていました。その瞬間に全身に鳥肌が立ち、金縛りが解けました。金縛りが解けた瞬間に枕元にある電気スタンドの電気をつけました。枕元の人影はなくなっていました。が、あまりの怖さにダッシュで母の部屋にいき、「どうしたの??」と驚く母にも何も言えずに震えていましたが、私の真っ青な顔色になにかを察したのか、私の部屋の様子を見た後は何も聞かずに一緒に寝てくれました。

その夜はあまりの怖さに私は眠ることができず、朝になるまで一睡もできませんでした。朝日が昇り始めたころにウトウトと仮眠してから、どうしたの?と心配する母に泣きながら昨日の事を話しました。
私の話をうんうんと聞いていた母でしたが、聞き終わった後になにかを考えてから一言

「窓って南側の窓からきたの?」

と。私はなにを聞いているのかもわかりませんでしたが、母の言っている通り南側の窓から人影が入ってきたのを感じていたので、そうだと答えると

「そっか。言ってなかったけど、南側2件隣のおじいさん。少し前に亡くなって、一昨日お通夜だったみたい。」
と。

私が感じたその人影はそのおじいさんだったのでしょうか。それとも何か別のなにかだったのでしょうか。今となってはわかりませんが、起きているのに気が付いていて、もし動けないままだったら何かあったのかもしれないと思うと今でもゾッとします。

その後は動かしたベッドを元に戻してから、それ以降はなにもありません。

ですが、いまでもその時に言われた「起きているんだろう」の言葉が頭から離れません。あまりの怖さにこの話は身内以外に初めてこちらで話しました。ですが、これを書いている今、何故か私は鳥肌が止まりません。願わくは今日の夜に金縛りにならないとよいと思っています。

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