これは私が実際に体験した怖い話になります。
自分の親がこの世を去り、葬儀をセレモニーホールで執り行うことになりました。
最期ということもあり、私と兄弟たちで泊まり込むことになったのです。
親族の控え室にて宿泊は可能でしたし、控え室にはお風呂も完備されていました。
お通夜を翌日に控えており、訃報を聞きつけた親族も一段落したのは、深夜1時過ぎ。
交代で入浴をしようということになり、私たちは順番にお風呂へ。
親の遺体を壁一枚へだてた場所にあった浴室には、脱衣所もあり、鍵がしめられる仕様になっていたのです。
お風呂を使用する際には、脱衣所の鍵を閉めてから皆んなが交代で入浴でした。
順番待ちをしていると、お風呂に入っていた兄弟が飛び出して来たのです。
身体も満足に拭かずに、髪からは雫がしたたっていました。
事情を聞いてみると、風呂場に繋がる廊下を、誰かが通った!と言うのです。
しかし、それはあり得ません。
何故なら、脱衣所の鍵を閉めて入っている以上、風呂場に繋がる廊下にすら入ることは出来ないのです。
何かの見間違いだろう…ということで納得をさせて、私自身が入浴をする順番に。
脱衣所に入ってから、鍵を閉めて念入りにドアが開かないかを確認。
そして、念のために兄弟にも脱衣所の方へ来ないように指示を出してから入浴。
ゆっくりと湯船に浸かっていると、お湯は温かいのに寒気を感じてしまったのです。
親がこの世を去ったという事実を受け入れるのも精神的には堪えるもの。
私は、寒気は精神的に疲れているからだろうと思うことにして、頭を洗うことにしました。
頭をシャワーで流していると、視界の端に黒い人影のような物が通り過ぎて行ったのです。
とっさにシャワーを止めて、脱衣所からお風呂まで続く廊下を確認。
しかし、そこには誰もいませんでした。
誰もいなくて当たり前なのです。
入り口はきちんと鍵を閉めて、ドアが開かないのを自分自身で確認しているのですから…。
正面から黒い人影を見たわけではなかったので、再びシャワーで頭を流して、お風呂から出ようとした時です。
すりガラスのようになっているお風呂のドアから、今度ははっきりとドアを横ぎって行く人影を目撃!
勢いよくドアを開けて確認をしたものの、誰もいませんでした。
そればかりか、人影が向かった方向には、洗面台しかないのです。
つまり、洗面台の中に入っていったとしか考えられません。
でも、そんな事は人間には不可能なことです。
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