今も存在する「出る」セレモニーホール
投稿者:tsukihime (5)
一瞬で寒気が私を襲い、身体を拭くのもそこそこで急いで皆んながいる部屋へ向かいました。
そして、ついさっき自分が目撃したことを皆んなに説明。
すると、他の兄弟も同じような体験をしていたのです。
皆んなが共通していたのは、黒い人影ということ・そして洗面台の方向へ向かっていったことでした。
誰もドアの方向へ向かう人影は見ていないのです。
場所が場所だから、そういうこともあるかも知れないという話になり、あまり気にしないようにすることにしたのですが…。
親族の控え室には、お風呂は完備されていましたが、トイレは廊下にしかありませんでした。
つまり、トイレに行くには、毎回少し離れた場所まで行く必要があったのです。
そして、私はそのトイレでも恐怖を味わうことになってしまいました。
トイレを使用して、個室から出ようとすると、何故か呼ばれた感じがするのです。
しかも、私を呼んだ声の主は、まさにこの世を去ったばかりの親。
自分の親の聞き慣れた声を、間違えるとは思えません。
でも、本当に呼ばれるはずもないというのは、頭では理解をしています。
気のせい、気のせいと自分に言い聞かせて、トイレを出ようとすると…何故か1番奥の個室が気になって仕方がありませんでした。
ちょっと怖い!とは思いつつも、気になってしまった個室をゆっくりと確認しましたが、至って普通のトイレ。
誰かが入っていることもありません。
私たち一家以外には、その時間にはその場にいないのですから当然でしょう。
セレモニーホールの入り口も施錠されており、従業員の方も引き上げた後です。
私たちが外出をする際には、親族控え室からインターホンで鍵の開け閉めをしないといけない仕様でしたから…。
だから、私たちが招き入れた人間しか入ってこれないはず!
でも、誰も入れた記憶などない!
可能性としては、他の階に違う人たちが居る。
しかし、それも当日にはありませんでした。
仮に深夜帯だとしても、もし他の階を利用する人がいたら、葬儀社の人が声をかけに来ると事前に聞かされていたのです。
セキュリティーの面などもありますから、当然の対応でしょう。
ですので、会場には私たち一家しかいないはずでした。
ところが、私たち一家が全員同じフロアにいるにも関わらず、階下から物音が響いてくるのです。
金属を叩くようなキーンという音が何度も何度も聞こえてくるように。
「もしかしたら、誰かが侵入してる?」
そう思った私たちは、3人で階下の様子を確認しに行くことにしました。
実際に階下に行ってみても、誰もいませんでしたし、自動ドアも閉まった状態で、鍵もかけられていたのです。
つまり、外部からの侵入者ではなく、内部に誰かが潜んでいるとしか考えられない状況。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。