有名な神社で体験した不思議な話

数年前に地元の神社で経験した話です。

毎年初詣に行く神社は、全国的にも有名な神社なのですが、家から５分ほどのところにあるので、いつもはお参りが済んだらすぐに帰っていました。

その年も、例年通りお参りを済ませ、お守りやお札を頂いて、あとは帰るはずでした。

でも、その日は私以外の家族全員が、何故か「トイレに行ってくる」と、みんなトイレに行ってしまい、私一人だけ残されたのです。

なので、社務所そばの休憩できるスペースで待っていたのですが、元日の、しかも人が多い時間帯にもかかわらずなぜか周りに人がいませんでした。

珍しいこともあるもんだなぁ、くらいに思っていたら、急に知らないおじさんに「よっ！」と、声をかけらました。

まったく見覚えのない人だったので、びっくりしていたら、そのおじさんが社務所のほうを指さしてこう言いました。

「今年は、家内安全のお札、忘れられてなかったみたいだぞ」

え？　と、指さすほうを見てみると、お札を頂いたときに対応してくれた巫女さんが、走ってこちらに向かってきます。

「すみません、家内安全のお札をお渡しするのを忘れてしまって」

そう言って、お札を渡されました。

いただいたお札とかお守りの入っている袋を見てみると、確かに家内安全のお札だけ入っていなかったのです。

「混んでいるから見つからないかと思ったのですが、すぐに見つかって良かったです」

そういわれて周りを見てみると、そのおじさんはいなくなっていて、周りはいつものように人で溢れていました。

で、家族もみんな戻ってきて、帰りがてらこの話をしたら、

「そういえば、去年、家内安全のお札だけ入って無かったよね」
「でも、それ知ってるの、うちの家族だけだよ」

そう、お札の件は、誰にも話したことのないので、家族以外誰も知らないはずなのです。

消えてしまったおじさんが、なぜそのことを知っていたのか？　そして、あのおじさんはいったい何者だったのか？　いまだにわからないままです。