小学五年生の頃、僕の家には使っていない和室があった。
祖父が亡くなってから誰も使わなくなり、昼でも薄暗い部屋だった。
ある日、母に言われて、その和室の押し入れを掃除することになった。
襖を開けると、古い布団や段ボール箱が積まれている。
その奥に、妙なものを見つけた。
小さな木の扉だった。
押し入れの壁に埋め込まれていて、今まで見たことがない。
取っ手には錆びた南京錠が付いていたが、なぜか鍵は開いていた。
興味本位で扉を開ける。
すると、中は真っ暗だった。
懐中電灯で照らすと、狭い空間が続いている。
人ひとりがやっと入れるくらいの広さだ。
不思議に思いながら覗き込んだ瞬間、
奥から声がした。
「やっと見つけてくれた」
小さな女の子の声だった。
驚いて飛び退く。
だが、懐中電灯の光の先には誰もいない。
気味が悪くなり、その日は扉を閉めた。
夜。
寝ていると、和室の方から物音が聞こえた。
カタン。
カタン。
誰かが押し入れを開け閉めしているような音。
父に言っても、
「風だろ」
と相手にしてくれない。
翌日、学校から帰ると気になってまた和室へ向かった。
押し入れを開ける。
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