これは、大学生の時に不動産管理会社でバイトした頃の話だ。
業務内容は、主に賃貸マンションやアパートなどの管理だが、階段掃除に芝刈りと、雑用がほとんどである。
しかし、その日の依頼は普段と違い奇っ怪な内容であった。
人里離れ、山林が立ち並ぶ場所にポツンと建った10世帯程度の新築物件だが、辺鄙なロケーションの為101号室しか入居者はいなかった。
しかも老婆の一人暮らしである。
最近、女子高生になった孫が、度々遊びに来ているらしく電話をかけてきたのだ。
白い着物の女が、決まって夜中に部屋中を徘徊している。
きっとそれは、幽霊に間違いないと言うのだから尋常でない。
早速訪ねると、老婆は心よく室内へと招いてくれた。
「あれ?お孫さんは?」
「はぁ、おらんよ。」
出かけているのだろうか。
老婆は、そう言うとコタツに潜り込み、ぼ~っとした表情でお茶をすすっていた。
仕方ないので、勝手に室内を物色することにした。
歯ブラシが数本、趣味の違ったシューズやパンプス、食べかけのハンバーガー。
どれを取っても、老婆の所有物だけではない。
ちょっと聞いてみようかと、老婆の部屋へ……いない…。
すると、奥の和室の戸がスーっと開いた……制服姿の女子高生…………お孫さん?…………ではなく……変身した老婆の姿だった!!!
「こんにちは…ハジメマシテ」
しわくちゃな顔に厚塗りした化粧で、微笑んだ!
その和室の柱には、白い着物が掛かっていたのだ。
多重性人格障害
怖いのは、幽霊などではなく人間そのものかも知れない…。
























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