迷い家
投稿者:LAMY (11)
長編
2020/12/24
18:10
53,860view
能面のような無表情でこちらに迫ってくる、老婆の姿を。
竹田さんが最愛の妻だと思っていたのは顔中しわくちゃで、目元に大きな染みのある、白髪頭の老婆だったのです。
その後、竹田さんは幸い無事家に帰ることができたと言います。
しかし鞄を落とし、靴も履かずに帰ってきた竹田さんは奥さんにものすごい剣幕で叱られたらしく、それ以降竹田家では飲み会の二次会参加が厳禁となったそうなのですが……それはさておき。
後日、昼間に恐る恐るあの家があった場所を訪れてみると、そこには一軒家ではなくごく普通のアパートが建っていたといいます。
一応調べてみたものの、特に事故だの自殺だのがあったり、アパートが建つ前に何かあったとかそういう謂れもなかったとか。
奥さんはこの話を悪酔いの産物、酔っ払いの見た夢だと笑ったらしいですが、竹田さんはどうにもそうとは思えないそうです。
そんな竹田さんには、誰かにこの話をするたび思うことがあるらしいのです。
あの時、和室に敷かれた布団の横に畳んで添えられていた浅葱色の寝間着。
この話をする度、あのなんてことのない地味な寝間着のことが頭を過るのだそうで。
「多分だけどさ、俺あの時、寝間着を着てたら帰って来れなかったんじゃないかなあ」
そう語ってくれた竹田さんは、今もあの“家”が現れた団地に住み続けているようです。
前のページ
3/3
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 229票
だんち?
なかなか怖くて面白いかった
怖い怖い怖いよー
怖面白い
天界通信や奇妙を思い出すな
現代版マヨイガですね。確かに、こんな感じになりそう!
面白い。文も読みやすいです。
面白い。読みごたえがあります。だが……。
「後日、昼間に恐る恐るあの家があった場所を訪れてみると」。竹田氏は、行きは泥酔していて、逃げる時は無我夢中だったのに、どうして ”迷い家” のあった場所を覚えていたのでしょうか?
上手の手から水が漏れましたね。これさえうまく設定すれば完璧だったのに。(へそ吉)
面白いけど、ラストが理解出来ない。
多分このオチで更に怖くなる仕掛けなんだと思うんだけど…。
奥さんもマイホームも彼の妄想って事?
それとも迷家に魅了され過ぎてそこに引っ越したって事?(逃げきれなかった?)
>今もあの“家”が現れた団地に住み続けている
真面目に考えれば考えるほど意味が…団地とは「同じ敷地内に複数の棟が建てられている共同住宅」ですよね。その敷地内に家が現れた?後日訪れたらアパート????それが現れた団地に住み続ける?どれだけ考えてもちんぷんかんぷんなんですけど…誰か本当のオチを教えてください
オチが悪いとか、わからない、て言う人もいるけど、事実の話って案外曖昧だったり、記憶があやふやだったりするよな、と思いました
俺にはこの団地って表現みんながなんでそんな違和感感じてんのかわからなくて、「団地」で画像検索して分かったんだけど、普通はアパートのでかい版みたいなのが並んでるのが団地って言うのね
俺の実家も「団地」ってみんな呼んでるとこにあるんだけど、これが一派的に言うその団地とは違くて、向かい合う様に普通の一軒家が五つくらい並んでて間にそこに出入りする為の袋小路の道路が有る
そんな空間がいくつも横に並んでる場所がど田舎には結構あって、これをうちの田舎じゃ普通は団地って言ってた
この話に出てくる団地はそれだと思う
その中の一つの家が空き家とかちょっとした借家になってるとかは普通にあったよ
婆さんと嫁さん間違えるってそうとう酔ってんな・・・・
ためはち
上の方が言ってるような一軒家の団地って借家みたいな物ですよね?主人公はマイホームを買う時…って言ってるけど、本当はどれが正解なんだろう?マンションのような団地に住んでるのか、一軒家の借家なのか、はたまた買った一軒家のマイホームなのか…最後がとっちらかってて気になって仕方ない…
最後の団地となってるところ、住宅地だったらコメ欄もざわつかなかったのかなと‥
夢の中でもさ、どれだけ本来の自分とは異なるスペックとか設定だったとしても、夢だと気が付かないよね。
一軒家に住んでいると話していたハズが団地…。実はまだ本当の家に帰れていないとか?
荷物を置いてきてしまい元の世界に戻れていない
私の田舎では一軒家が並んだ集合住宅を団地と言います。借家とかではなくちゃんと自身で購入した家です。
正式な団地の定義はわかりませんが知る限りニュータウンと同義で団地は使われてもいました。賃貸、タウンハウス、宅地分譲などと公共施設を含む巨大な住宅地。一方で市営や公団の四角いコンクリートの棟がいくつも並んでいる所も団地と言いますからややこしいですが投稿者が前者を団地と表現したなら齟齬はないと思います。
これ最後の文章に出てくる「家」は終始語られていた妻と二人暮らししているという家のことでは?
つまり自分の家ではないところに誘われた、という単純な話ではなくその時話の全てを通して出てきていた本来の家、妻との二人暮らしの家そのものもなかった。
暮らしていたのは団地で、マイホームなど持っていなかった。