迷い家
投稿者:LAMY (11)
いつになくとんちんかんなことをしている奥さんのことを微笑ましく思いながら竹田さんはごろんと右に寝返りを打ったそうです。
視界に入るのは見慣れた和室の風景。布団以外には何もなくて、かなり広い。
いつも自分が寝ている住み慣れた部屋―――と。そこまで考えたところで、竹田さんはふと思ったそうです。
あれ。俺の家に和室なんてないよな?
マイホームを買う際、竹田さんは和室を欲しがりました。
けれど奥さんが頑なにそれに反対したのです。
なんでも彼女の実家で畳から大量の虫が涌いたことがあり、それが原因で畳が大嫌いになってしまったのだという話でした。
だから、自分の家に和室はない。でも、自分は今間違いなく和室で寝かされている。これはどういうことだろう?
いや、そもそも自分はいつも夫婦共用の寝室で寝ているはずではなかったか。
なのにどうしてこんな部屋で寝かされている?
最初は、ただ疑問に思うだけでした。
けれどその疑問が恐怖に形を変えるまで、さほど時間はかかりませんでした。
和室の件に続いて、竹田さんはもうひとつのおかしなことに気付いたからです。
我が家に、子どもはいない。
妻はもう何年も不妊の治療をしているが、未だにそれが実を結んだ試しはない。
じゃあ、ついさっき「おやすみ」と自分に笑いかけ、手を振っていたあの少年は誰なのか?
なぜ自分はあれのことを、“今年で高校生になる、自慢の一人息子”などと思っていたのか?
ぞわぞわぞわっ、と背筋が粟立つのがわかりました。
何かがおかしい。
何か、とてもおかしなことが起きている。
すっかり酔いが醒めた竹田さんは、畳の上に無造作に投げ捨てた鞄を拾うのも忘れて襖を開け、飛び出しました。
布団の隅に添えられたままの寝間着が一瞬目に入ったが、よくよく考えるとあんな爺臭い色の寝間着に見覚えはありません。
この家に居たら、まずい。
絶対によくないことになる。
幸い居間の電気は消えており、家族は……いや。“この家の住人”たちは寝ているようでした。
玄関の三和土に着くなり靴を履こうとするが、こういう時に限って手間取ってしまいなかなかうまく履けない。
焦燥の中、竹田さんは自分の背後から迫ってくるどんどんどんどんという荒い足音を聞きました。
もう靴などどうでもいい。気にしている場合じゃない。
うあぁぁああっ、と調子の外れた悲鳴をあげながら外まで飛び出し、扉を閉める。
その時一瞬、竹田さんは見てしまったそうです。
だんち?
なかなか怖くて面白いかった
怖い怖い怖いよー
怖面白い
天界通信や奇妙を思い出すな
現代版マヨイガですね。確かに、こんな感じになりそう!
面白い。文も読みやすいです。
面白い。読みごたえがあります。だが……。
「後日、昼間に恐る恐るあの家があった場所を訪れてみると」。竹田氏は、行きは泥酔していて、逃げる時は無我夢中だったのに、どうして ”迷い家” のあった場所を覚えていたのでしょうか?
上手の手から水が漏れましたね。これさえうまく設定すれば完璧だったのに。(へそ吉)
面白いけど、ラストが理解出来ない。
多分このオチで更に怖くなる仕掛けなんだと思うんだけど…。
奥さんもマイホームも彼の妄想って事?
それとも迷家に魅了され過ぎてそこに引っ越したって事?(逃げきれなかった?)
>今もあの“家”が現れた団地に住み続けている
真面目に考えれば考えるほど意味が…団地とは「同じ敷地内に複数の棟が建てられている共同住宅」ですよね。その敷地内に家が現れた?後日訪れたらアパート????それが現れた団地に住み続ける?どれだけ考えてもちんぷんかんぷんなんですけど…誰か本当のオチを教えてください
オチが悪いとか、わからない、て言う人もいるけど、事実の話って案外曖昧だったり、記憶があやふやだったりするよな、と思いました
俺にはこの団地って表現みんながなんでそんな違和感感じてんのかわからなくて、「団地」で画像検索して分かったんだけど、普通はアパートのでかい版みたいなのが並んでるのが団地って言うのね
俺の実家も「団地」ってみんな呼んでるとこにあるんだけど、これが一派的に言うその団地とは違くて、向かい合う様に普通の一軒家が五つくらい並んでて間にそこに出入りする為の袋小路の道路が有る
そんな空間がいくつも横に並んでる場所がど田舎には結構あって、これをうちの田舎じゃ普通は団地って言ってた
この話に出てくる団地はそれだと思う
その中の一つの家が空き家とかちょっとした借家になってるとかは普通にあったよ
婆さんと嫁さん間違えるってそうとう酔ってんな・・・・
ためはち
上の方が言ってるような一軒家の団地って借家みたいな物ですよね?主人公はマイホームを買う時…って言ってるけど、本当はどれが正解なんだろう?マンションのような団地に住んでるのか、一軒家の借家なのか、はたまた買った一軒家のマイホームなのか…最後がとっちらかってて気になって仕方ない…
最後の団地となってるところ、住宅地だったらコメ欄もざわつかなかったのかなと‥
夢の中でもさ、どれだけ本来の自分とは異なるスペックとか設定だったとしても、夢だと気が付かないよね。
一軒家に住んでいると話していたハズが団地…。実はまだ本当の家に帰れていないとか?
荷物を置いてきてしまい元の世界に戻れていない
私の田舎では一軒家が並んだ集合住宅を団地と言います。借家とかではなくちゃんと自身で購入した家です。
正式な団地の定義はわかりませんが知る限りニュータウンと同義で団地は使われてもいました。賃貸、タウンハウス、宅地分譲などと公共施設を含む巨大な住宅地。一方で市営や公団の四角いコンクリートの棟がいくつも並んでいる所も団地と言いますからややこしいですが投稿者が前者を団地と表現したなら齟齬はないと思います。
これ最後の文章に出てくる「家」は終始語られていた妻と二人暮らししているという家のことでは?
つまり自分の家ではないところに誘われた、という単純な話ではなくその時話の全てを通して出てきていた本来の家、妻との二人暮らしの家そのものもなかった。
暮らしていたのは団地で、マイホームなど持っていなかった。