一人で家にいるのが怖い。
そんな訴えをするようになったらしい。
そして、なぜかその夫婦も、引っ越してきて早々に旦那さんが夜勤になった。
以前の夫婦と、まるで同じだった。
夜になると、一人で家にいることを恐れた奥さんが、外を徘徊する。
近所の人たちは、そんな彼女の姿を何度も目撃したという。
そして、しばらくすると――
その奥さんも、家の中で自ら命を絶った。
階段の手すりにロープを掛け、そこで亡くなっていたという。
旦那さんは、前の住人と同じように半狂乱になり、家財道具をすべて残したまま姿を消した。
どこへ行ったのか。
その後どうなったのか。
誰にも分からなかった。
そして、いつしか近所では、こんな噂が囁かれるようになった。
「あの家の霊は、周りの家に移ってくる」
赤い屋根の家を中心に、両隣、そして裏側。
まるで家を一軒ずつ巡るように、霊が移動していくのだという。
「まさか……そんなことあるわけないよね」
その話を聞いた私は、弟と顔を見合わせた。
「……見に行ってみようか」
弟も黙って頷いた。
私たちは家を出た。
時期は秋。
少し肌寒く、辺りはどこか静まり返っていた。
歩いてすぐのところに、その家はあった。
赤い屋根の家。
ただの一軒家にしか見えない。
それなのに――
それまでに聞かされた話が頭に残っていたせいだろうか。
目の前に立つその家は、いつも以上に不気味に感じられた。
静まり返った家。
誰も住んでいないはずなのに、なぜか人の気配がするような気がする。
























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