それから2人は仲良くなった。
アコちゃんは元の明るい性格に戻った。ユリカちゃんはサトルくんよりも、アコちゃんとばかり話すようになり、サトルくんは好きな子を取られたような寂しい気持ちになったそうだ。
アコちゃんは手が元通りになったら、またピアノを習いたいと言った。アコちゃんがピアノをやっていたのはサトルくんは初耳だった。元気よく走り回っているイメージしかなかったから、それは驚いたそうだ。
サトルくんを含むクラスメートが、手は戻らないよと言っても、2人は強く否定した。
心配になったサトルくんは、親に相談をした。他の児童も同じことを考えたようで、クラスの保護者会の時にその話題になったそうだ。
ユリカちゃんとアコちゃんのお母さんも来ていたが、アコちゃんの親までも感化されて、娘の手は治ると言い張ったそうだ。それどころか、亡くなった夫が帰ってくるとまで言い出して、保護者会は荒れたという。
誰がどんなに言っても、2人は考えを譲らなかった。
サトルくんはユリカちゃんに聞いた。
「来年の7月に、今まで死んだ人が全員、生き返るの?」
「全員ではないよ。さすがに平安時代の人とかは無理だよ。3年以内に死んだ人のみだよ」
「何で3年なの? 聖書には、そういう事は書いてなかったよ」
サトルくんは気になって、聖書を買って読んだのだ。ユリカちゃんの言う、この世が天国になって怪我や病気が治るとか、3年以内に死んだ人が生き返るとか、どこにも書いてはいなかった。
「私もよく分かんないけど、お父さんとお母さんが3年以内と言っていたから、きっとそうなのよ。それに聖書と言ったけど、私たちはキリスト教徒ではないのよ。いくつもの色んな宗教を参考にしているから、私たちの教えは視野が広くて深いの、そして正しいの」
ユリカちゃんは堂々としていたが、サトルくんは不安だった。
来年に奇跡が起きなかったら、ユリカちゃんが皆から嫌われると思ったからだ。好きな女の子が嫌われたら悲しい。
周囲の人たちも色々と心配していたが、彼らは聞く耳を持たなかったので、来年になれば分かることだからと、見守ることにした。
学校でも2人が、手が元通りになったらピアノの難曲に挑戦したいなどと話をしていたが、もう誰も突っ込まなかった。
サトルくんのお母さんは、アコちゃんのお母さんと交流があった。だから色々と情報が入ってきた。
それによると、手が治った時にすぐに弾けるようにと、今からピアノを再開したという。ピアノの先生には何と説明したのだろうか?
またお父さんが生き返った時の為に、男物の洋服を買い揃えたそうだ。
サトルくんのお母さんは、
「言っても無駄だから黙っているけど、すごく悲しく思う」
と、気持ちを息子に打ち明けた。
























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