咳をしてもひとり、ゲップをしてもひとりだ。
「動物のように・・・?」
そういえば、人間だけではなく、動物の姿も見ない。
こーゆー異次元で廃墟モノのマンガや映画だと、人間はいない代わりに野犬がいたり、動物園から逃げたライオンや象のような動物が廃墟の街を闊歩したりするシーンがある。
しかしそんなものの気配もない。
ふと考えた。
世界から人類だけではなくすべての動物が消えたのか?
鳥も魚も・・・これは一度確認する必要がありそうだ。
もし、動物がいないとなれば、今後一生食肉にはありつけないことを意味する。
虫は?
・・・虫もいなさそうだ。腐敗し始めている食料品売り場には、ハエの一匹もいない。
ちょっと待て?
生鮮食品が腐ったりカビが生えたりするのは、菌類が存在するからだ。
それに街路樹もあるし、この量販店のガーデニングコーナーにも育った植物がある。
つまりこの世界では動物はいないが植物と菌類はいることになる。
・・・なぜだろう。
わからない。わからないが、陽はどんどん沈み始めている。
そろそろ二階に退散だ。
うれしいことに二階にはベッド売り場がある。
今まで一度も寝たこともないほど大きなベッドがあり、それを独り占めできた。
しかも超高級羽毛布団付きだ。
まわりにいくつも電池式のランタンを置き、ポテチを持ち込み、拠点を作った。
夜を迎える準備をしながら、ひとつ心配なことが頭に浮かんだ。
異世界の定番といえば、夜になって襲ってくるゾンビやモンスターだ。
果たしてこの世界にもそのような敵が存在するのだろうか?
もしも、いなくなった人類すべてがゾンビになって襲ってきたら、
それはもう太刀打ちできないだろう。
だが、自分の部屋で過ごした1週間の間には、そのような異変は感じられなかった。
もちろん、警戒するに越したことはないのだが。
暗闇に紛れるため黒のパーカーの上下を拝借し、工具売り場から武器となりそうな
バールのようなものを持ってきた。・・・ようなものではなくバールだ。
どんな扉でも開けることができる魔法の杖だ(物理)。頼もしい。


























Mameです。
今回の作品は狭い世界で生きる主人公に、突如として夢のような広い世界が与えられるとどうなるか、
その落差が楽しい作品となりました。
そしてラストは実験的なマルチエンディングとしました。
希望と絶望、そのどちらも楽しめます。
絶望を味わいたくない人は途中で見るのやめてください。
よかったら、あなたがどちらのエンドを選択したか、書き込んでくれると嬉しいです。