俺は犬だ。
名前は萩野健人。東京都中野区生まれ中野区育ちの17歳で、部活はバスケ。でも身長が171㎝しかないからっていうのもあって、なかなかレギュラーになれない。目が悪いし眼鏡かけてるからっていうのは言い訳だろって顧問に怒鳴られたことがあるけど、絶対それも関係してるよな。
勉強は得意でも不得意でもないけど、中学生の頃からずっとクラスでも中の下って感じで、まあどちらかといえばやや落ちこぼれみたいなポジションなんだけど、なぜか数学だけは肌に合うのか、80点以下を取ることの方が少ない。
好きな天気は晴れで、好きな季節は冬。
好きな音楽は……洋楽かな。特にジャンルとかはないんだけど、親父がレイジとかコールドプレイとかよく聴いてたから、俺の耳も自然とそういう曲が耳障り良いと感じるようになってしまったのかもしれない。
——って、俺の自己紹介はこれくらいでいいか。
そんな感じで、特に何の変哲もない、至って普通の高校生男子だ。
身体が犬ってことを除けば。
何を言ってるのかわかんねーって思われるだろうけど、そんなの俺だってわかっちゃいないんだからしょうがない。
なんていうか、俺には俺という人格っていうか、萩野健人っていう人生とか記憶がちゃんとあるのに、でも身体は犬で、四つん這いになってるし、何か喋ってるつもりなんだけど、ワンワンって音しか口から出てこない。
そりゃあ混乱もしてるけど、でもしょうがないよなっていう諦めもあって、どういうことだよ! 誰か説明してくれよ! ってどれだけ叫んでも、ワンワン吠える煩い犬ってだけなんだ。
って、今は落ち着いてる風だけど、たった数分前まで大混乱だった。
だって、気づけば犬になってるんだぜ?
こんな超常現象って、マジで漫画とか小説の世界じゃん。
そんな風に考えたら、少しだけわくわくもしてきた。
だって、まるで主人公じゃん。
異世界転生みたいなもんなのかもしれないけど、これ、元の人間の身体に戻ったら、すげー武勇伝というか、マジで一躍時の人みたいな扱いされるのは間違いないだろうな。
それこそドラマ化とか映画化もあり得る。
っていうか、ならないとおかしいだろってレベルですげー体験してる。
で、冷静になって周りを見渡すんだけど、元々視力が悪いこともあって、正直よく見えない。
犬の視力って人間でいうと0.1位しかないとか聞いたこともあるし、だから余計にぼやけてるんだろうな。
遠くに人がいるのは何となくわかるし、たくさんいるってこともわかる。
ざわざわしてるけど、俺の耳が犬の耳になってるせいなのか、何を言ってるのかはよく聞こえない。
でもじゃあなんで自分の身体が犬なのかわかるんだって話だけど、自分の手足は流石に見えるからな。
手足っていうか、全部足なんだけど。
うちで飼ってるパグにそっくりの前足だし、なんだろ、身体が軽いっていうのかな、人間だった頃よりも速く走れそうな気がして、今にも走り出したいのもやまやまなんだけど、視界が悪いからっていうのもあるし、そもそもここがどこかわからないっていうのもあるから、あんまり動き回りたくないっていうのも正直なところなんだ。
でも犬の走力って相当だからな。
小型犬だからって馬鹿にできないのは、毎日散歩してる俺にはわかる。
あーあ。
でもよりによって犬か。
しかもパグ……と思われる。鏡見てないからわからないけど。
せめてドーベルマンとかレトリバーとかがよかったわ。
こんなんで世界なんて救えるのか?
もちろんハーレム展開になったらその時だけ人間の姿になれるんだよな?
なんちゃって。
























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