私が小学生の頃、怪談が流行った時期がある。
図書室では『学校の怪談』というような本が人気となり、その本を数人で一緒に読むこともあった。
その中で私たちは座敷童子という存在を知った。子どもの姿をしており家に富をもたらす存在だ。
ある時、友だちが座敷童子が家に住み着いているかどうか確認する方法があると教えてくれた。
それはこんな方法だ。
時間は深夜の2時台。家の中の窓のある部屋一つのみを豆電球の明かりにし、それ以外の部屋の電気は消す。
この際、豆電球の点いている部屋は窓とカーテンを少しだけ開けて外からも部屋の中が少しだけ見えるようにする。
準備ができたら家の外に出て、豆電球の点いてる部屋に向かって、
「座敷童子さま、座敷童子さま、そこにいればお顔をお見せください。」
と声をかける。もしその家に座敷童子がいれば窓の隙間から座敷童子が顔を覗かせるというものだ。
これだけ聞くといたってシンプルな方法だ。しかし深夜の2時台というのが小学生には難しいこともあり実践したという話を聞くことはなく、そもそもこの方法を教えてくれた友だちも自分でやったことは無いと話していた。
ただ私はだからこそ自分が一番最初にやってみんなに報告したいと思っていた。
ある日の土曜日、家族が寝静まったのを確認した私は意を決してこの方法を試みることにした。
2階にある自分の部屋の豆電球を点け、部屋の窓とカーテンを少し開ける。ちょうど人の顔一つ分ぐらいの隙間を作った。
それ以外の部屋はもう真っ暗だ。
私は音を立てないようにしながら庭へ出た。
見上げると自分の部屋からわずかにオレンジ色の明かりが漏れている。
私はそこへ控えめに声をかけた。
「座敷童子さま、座敷童子さま、そこにいればお顔をお見せください。」
何も起こらない。当然だ。でも何か起こるかもしれない。そう思って少しの間部屋を眺めていた。
その時だ。
窓の隙間からぬっと黒い顔のようなものが出てきて
「いないよ。」
と低い男の声で言うとそれはすぐに部屋の中に引っ込んでいった。
突然のことに私は驚き、そして怖くなり急いで家の中に入った。しかし自分の部屋には怖くて戻れず、結局リビングで震えながら夜明けを待った。
それから今に至るまであの顔のようなものを見ることは無い。ただわずかに光が漏れる部屋の窓などを見ると反射的に顔を背ける癖がついてしまった。
なんだかあれがまた出てきてしまいそうで。
























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