少年「ねぇおじさん。」
私「何だい?」
少年「何でおじさんは、よくここで包丁を洗っているの?」
思ってもいない質問が来た。
私「…君はまだ知らなくていいよ。」
少年「大丈夫。僕誰にも言わないから。おじさんが『人を殺した』こと。僕、霊感があるんだ。だからおじさんの殺した人見えるんだ。」
ギョッとした。この少年はずっと私が殺した人間が見えていたのだ。私と同じ様に。私も物心ついた時からそういった霊が見えた。
私「本当に誰にも言わないかい?」
少年「もちろん。だっておじさんは僕を助けてくれたから。僕が知りたいのは、何でここで包丁を洗ってるのかだよ。何で家で洗わないの?」
この少年は少し変わった子だ。この子が普通だったら私はすぐに殺していただろう。
私「…それはね、家に血の痕が残らない様にする為だよ。殺すのも、この近くさ。ここで殺して、ここに死体を埋めて、ここで包丁を洗える。とっておきの場所なんだ。」
少年は不思議と信頼感があった。だから私は答えてしまった。きっと怖がるだろう。
少年「へぇ、知らなかった!僕、それ洗うの手伝うよ!」
この子は全く私の事を怖がらず、私の持っていた血だらけの包丁を指差した。
私「そしたら君が捕まってしまうよ。」
私は少年の為に言った。
少年「うん、いいよ。助けてくれたお礼。それに僕も共犯になれば警察に言えなくなるでしょ?…もし僕が警察に言おうとしたら、僕を殺していいから。」
…あぁ、本当に不思議な子だ。殺人犯に「僕を殺していい」と言えるなんて。
少年「はい、洗えたよ。」
私「ありがとう。坊やのお陰で早く終わったよ。」
それから何度か少年と会った。少年はよく昼寝したり、私と話したりした。何時でもやろうと思えば殺せたが、私は少年を生かした。何故なら、少年は私の人生の中で一番信頼できる人物だったからだ。
とある時期から少年は来なくなった。前に、習い事が忙しくなってきたと言っていた。これで少年は私を思い出すことも無くなっていくだろう。
私は安心して、ロープに首を括った。
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僕はあれから仕事をやめ、実家に一人で住み始めた。おじさんともしょっちゅう話すようになり、毎日が楽しくなった。両親もあの野原で殺して家はとても静かである。
ある日。
今日も包丁を洗おうと池へ行くと、池の横で泣いている少年が居た。話を聞くと学校で虐められたらしい。僕はそっと少年の肩に手を置いて言った。
僕「もう大丈夫だ。おじさんが助けてあげよう。」
今日もこの野原と池は、あかるく、あかい。

























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