見ると殺風景な理科室の隅に、小さな祭壇が用意され、そこに線香をあげた跡があった。
実は朽屋たちが来る前、廣神はここでおっさんに祈りをささげていたのだ。
「学校の教師がこんなことを言うのもおかしな話だが・・・」そう前置きして、
廣神は朽屋と忍足の二人の方を見た。
「キミたちが本当に霊が見えたり、心霊について詳しいなら、彼を・・・おっさんを成仏させてやることはできないか?」
朽屋と忍足の二人は、しばしおっさんのいると思われる方向を見たままだまっている。
廣神にはおっさんの霊の姿は見えないのだが・・・なんとなく漂う懐かしいおっさんの匂いが、その存在を感じさせていた。
朽屋が語りだす。
「先生、その・・・オジサンの霊が言ってるんですけど、まずみんな誤解してるですって」
「誤解?」聞き直す廣神。
「まるでオレがドンクサイせいで逃げ遅れて、化け物にやられたと思ってるだろうって」
「えっ、違うの?」
「みんなを逃がす時間を作るために、オレは勇敢に戦ったんだぞって」
「えぇぇ、そ、そうなの??・・・おっさんそんな強かったかなぁ」
「でも負けちゃたんだってwww」
「ははは、おっさんらしいや。・・・ホントに・・・ありがとう、おっさん」
廣神の目に、少し光るものが滲んでいた。
「で、でね、そのぉ~・・・」今度は忍足が口を開く。
「成仏させるのは今はちょっと無理かもしれないですねぇ・・・」
「やはり君たちの力でも無理なのか」
「いや・・・その~、おっさんは、今がすごく楽しくて、この理科室が好き過ぎて、もうどこにも行きたくないって・・・。成仏したがってない霊を成仏させるのって、なかなか難しい・・・もちろん、強制的に除霊してしまうこともできますけどぉ、そうするとおっさんは天国には行けなくなるかもしれないです・・・」
「そ、そうなの?? おっさん・・・」どうしたものやら困惑する廣神。
「私、いつも日曜日には教会に行ってるの。だから今度神父様に相談してみるわ」と朽屋。
「僕も如月さんに相談してみようかな」忍足は組織に話を持っていくつもりのようだ。
「そうか、良い話があったら知らせてくれ。先生からも頼みたいから」
小さな祭壇にロウソクが灯され、線香が焚かれた。三人は今はどうすることもできないおっさんの霊に手を合わせた。おっさんは煙の中でなんだか楽しそうにしていた。
・・・・・・・・・・・・
「さ、帰ろうか」と廣神先生。
「待って待って、まだ終わってないでしょ?」と朽屋。
「先生、ボクらトイレの幽霊を見に来たんです」と忍足。























kanaです。
自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズです。
今回は小学校編ということで、ロリっ子朽屋の活躍にご期待ください。
尚、今回のお話は、以前こちらに投稿させていただいた「理科室の人体模型 VS チーム悪ガキ」というお話と、「【short_10】用務員のおじさん」のお話の解決編となっています。
あと、わかる人にはわかると思うんですが、ラストの戦闘シーンは某ネットミームを参考にさせていただいてます。わかる人は吹き出しちゃうかも。
それでは、ちょっと長いですけど、お楽しみください。
kanaです。さっそくなのですが、一部修正を入れました。
というのも楔形のカッコで音や擬音を表現していた部分があったのですが、
奇々怪々さんではなぜかこの楔形カッコで囲った文字は表記されないという仕様になっており、
そこだけ文字が消えていました。
まだ見落としがあるかもしれません。もし、おかしな部分を発見した方はご報告よろしくお願いします。
一気に読んでしまいました、瑠子シリーズ大好き☆
最高〜でした♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪いつもですけどwニンニンも小学生からの知り合いだったんですね(伏線回収?)次作楽しみに待っております♪♪♪
kanaです。↑コメントありがとうございます。楽しんでいただいて何よりです。
ニンニンは瑠子の1学年上の先輩でした。ボクの中の設定上では、この後ニンニンは瑠子に「同じ中学に行こうよ」と誘うのですが、瑠子はもうK女中等部に行くことが決まっていたので、ここで一旦お別れとなりますが、瑠子は高校に入る前に組織で保護されるので、そこで再開します。
ちなみにですが、瑠子が進学するK女学園にはモデルがあり、実はボクもびっくりしたんですが、そのモデル校がネットミームになってることが判明しました。グーグルストリートビューのカメラに向かって変なカッコで映る女子生徒3人の画像知ってますか? あの生徒たちの学校がK女のモデルです。
今回もクッチャルコ面白すぎました( ;∀;)このシリーズで小説出してほしいくらいです、、!!!
kanaさんの作品が一番大好きでいつも楽しく読ませてもらってます!!これからもお体に気を付けながら最高の作品を作り続けてください( ゚Д゚)