「その話か・・・。先生には幽霊は見えんから、トイレの幽霊なんて見たことないんだが・・・話は知っているよ」
「どんな話ですか?」と朽屋。
すこし悩んだ廣神だったが、この二人にはもう何も隠し事はできないと悟り、すべてを語ることにした。
廣神の話をまとめるとこうだ。
それはもう十数年前の事。当時、この学校でいじめにあっていた生徒がいたという。
家庭環境が悪く、いつもみすぼらしい格好をしていたせいか、学校でも友達ができず、
また遅刻や無断欠席も多く、給食費の滞納も常習で、先生からの心象も悪かった。
もちろん滞納は子供のせいではないのだが。
そうして彼はクラスの中でも一人浮いたような存在になっていた。
その子は悩みがあっても誰にも相談することもできず、一人トイレにこもって隠れる日々がつづいた。様子がおかしいことに最初に気付いたのは用務員のおじさんだった。
毎日トイレに隠れているその子のことを見つけ、用務員室に連れ出し、話を聞いてあげたり、
何をするでもなく、ひとりになれる時間を作ってあげたりしていた。
その子にとっては用務員室が学校内でようやく見つけた居場所になっていた。
しかし当然そのような勝手な行動が許されるはずもなく、状況が学校にバレると、用務員さんは注意を受け、生徒は用務員室への出入りを禁止された。彼は再び居場所をなくした。
それからしばらくして事件が起きた。
生徒の親が、お金がないので修学旅行には行かせない、これまで積み立てていたお金を返還してほしい等と言って学校にクレームを入れてきたのだ。そんなことはできないと学校側が突っぱねて、生徒は修学旅行に行けることになったのだが・・・ある日のクラス会で修学旅行のグループ分けをする段になって、好きな人同士で集まってグループを作ってよいということになり、クラス全体が沸いた。・・・のだが、それも束の間、終わってみれば彼だけがどこのグループにも入れず、ひとりポツンと取り残されていた。
先生が「かわいそうだと思わんのか?どこか入れてやれよ」というが誰も手を上げず、生徒はさらにみじめな立場に追いやられた。最終的には一番人数の少なかったグループに強制的に入れられたものの、グループメンバーからは「ええ~・・・」という不満の声が漏れていた。
そんな屈辱、自分の置かれたみじめな立場、誰も救ってくれない現実に直面した彼は、
その日の放課後、いつも隠れていた旧校舎1階のトイレにこもり、絶望して首を吊った。
その遺体を発見したのも用務員さんだった。彼は枝切ばさみでロープを切って生徒を救い出したものの時すでに遅し。少年は二度と息を吹き返すことはなかった。
そんな事件があってしばらくしてから、例の幽霊事件が噂されるようになったという。
「・・・うぅぅ、うわぁぁぁぁん!! なんでそんなかわいそうなことするのよ~!!」
廣神の話を聞いた朽屋が、泣きながら廣神に訴えた。
「先生、なんとかしてあげられなかったんですか・・・」と忍足の顔にもいらだちが見えた。
「スマン、そのころはまだ他の小学校に配属されていてな・・・。この話はその用務員さんから聞かされた話なんだ」
「そうだったんですね・・・」悔しそうな表情になる忍足。
「その用務員さん、実はおっさんの遺体を発見してくれた人でね。その縁で私が赴任した時に挨拶に行ったんだ。用務員さんはちょうど定年退職される直前でね、その子の話を聞かせてくれて、よかったら自殺を繰り返す生徒の霊の『ロープ』を切ってやってくれと頼まれたんだ・・・」
「じゃあ、今は先生がその子のロープを切ってあげてるの?」
「いや・・・面目ない。ロープどころか、自分には幽霊とか一切見えないんだよ。心霊的な怖い体験をしたのは子供時代に人体模型に追いかけられただけで・・・あれもたぶん人体模型という人形の外見があったから見えてただけなんだろうし・・・」























kanaです。
自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズです。
今回は小学校編ということで、ロリっ子朽屋の活躍にご期待ください。
尚、今回のお話は、以前こちらに投稿させていただいた「理科室の人体模型 VS チーム悪ガキ」というお話と、「【short_10】用務員のおじさん」のお話の解決編となっています。
あと、わかる人にはわかると思うんですが、ラストの戦闘シーンは某ネットミームを参考にさせていただいてます。わかる人は吹き出しちゃうかも。
それでは、ちょっと長いですけど、お楽しみください。
kanaです。さっそくなのですが、一部修正を入れました。
というのも楔形のカッコで音や擬音を表現していた部分があったのですが、
奇々怪々さんではなぜかこの楔形カッコで囲った文字は表記されないという仕様になっており、
そこだけ文字が消えていました。
まだ見落としがあるかもしれません。もし、おかしな部分を発見した方はご報告よろしくお願いします。
一気に読んでしまいました、瑠子シリーズ大好き☆
最高〜でした♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪いつもですけどwニンニンも小学生からの知り合いだったんですね(伏線回収?)次作楽しみに待っております♪♪♪
kanaです。↑コメントありがとうございます。楽しんでいただいて何よりです。
ニンニンは瑠子の1学年上の先輩でした。ボクの中の設定上では、この後ニンニンは瑠子に「同じ中学に行こうよ」と誘うのですが、瑠子はもうK女中等部に行くことが決まっていたので、ここで一旦お別れとなりますが、瑠子は高校に入る前に組織で保護されるので、そこで再開します。
ちなみにですが、瑠子が進学するK女学園にはモデルがあり、実はボクもびっくりしたんですが、そのモデル校がネットミームになってることが判明しました。グーグルストリートビューのカメラに向かって変なカッコで映る女子生徒3人の画像知ってますか? あの生徒たちの学校がK女のモデルです。
今回もクッチャルコ面白すぎました( ;∀;)このシリーズで小説出してほしいくらいです、、!!!
kanaさんの作品が一番大好きでいつも楽しく読ませてもらってます!!これからもお体に気を付けながら最高の作品を作り続けてください( ゚Д゚)