音は、この水袋から発せられているようだ。
共鳴した液体が波紋を作り、膜がぶよぶよと緩慢に揺さぶられている。
醜悪だった。生理的な嫌悪感を催さずにはいられない。
見知らぬ生物の内臓器官を見せられているような気分になった。
実際、それは、そのものだったのかもしれない。
俺はその醜悪な水袋から目が離せず、胃の中からすえた体液がこみあげてくるのを感じながら
それでもそのまま、ゆらゆらと揺れる液体を凝視し続けた。
突然、膜の一部が不細工に膨張し始めた。
ふくらみはこぶし大ほどの大きさで、その中にも液体は満ち満ちていたが、中に何か赤黒いものがうごめいているのが見える。
それは段々といびつな形を作り、やがて膜を破り、外へとこぼれ落ちた。
ぐちゃ、と湿った音。明らかに何らかの形ある物体がそこに生まれ出たことを意味していた。
俺は、直感的に、それを決して見てはならないと感じた。
必死で目をそらそうと、水袋の方に視線を向かわせる。
すると、水袋はごぼごぼと音を立てながら、先ほどと同じ奇怪なふくらみを無数に生み出していた。
あれが、大量に生まれる。
ぐちゃ、べちゃ、と気色の悪い音が何度も響く。
重低音は勢いを増して部屋中をぐるぐるとかき回す。
俺がどれだけ叫んでも、懇願しても、声はどこにも届かない。
そしてとうとう、俺は床に転がった無数のあれを見てしまった。
黄色い粘液にまみれた、こぶしほどの大きさの、生首だ。
子どもの顔から、老人の顔まで、あらゆる年齢の、それは全て俺の顔だった。
小さな小さな俺の顔は、みんな、俺を見て笑っていた。
というところでやっと目が覚めたんだけど、本当に気味が悪くて、大量の寝汗をかいていたよ。
おかげで熱は下がって、次の日から仕事にも戻れて、その辺は感謝しているけどね。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。