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ヒトコワ

鬼笑いの語り部さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

階段の十三段目
短編 2025/03/26 09:03 573view

主人公の高校生、翔太は、古い洋館に引っ越してきた。

その洋館には、奇妙な噂があった。

「決して、階段の段数を数えてはいけない」

翔太は、そんな噂を気にすることなく、好奇心から階段を数え始めた。

一段、二段、三段…。

十二段まで数えた時、翔太は奇妙な感覚に襲われた。

背後から、冷たい視線を感じたのだ。

しかし、振り返ってもそこには誰もいない。

「気のせいか…」

そう思い、再び階段を数えようとした時、翔太は信じられないものを目にした。

十二段目の階段が、ゆっくりと十三段目に変わったのだ。

翔太は、恐怖で全身が凍りつき、その場に立ち尽くしてしまった。

そして、十三段目の階段が現れた瞬間、翔太の耳に、かすかな囁き声が聞こえた。

「…数えてしまったのね…」

その声は、まるで老婆のような、低く、かすれた声だった。

翔太は、恐怖で悲鳴を上げそうになるのを必死で堪え、その場から逃げ出そうとした。

しかし、その時、翔太の足元に、黒い影が現れた。

その影は、ゆっくりと翔太の足を掴み、十三段目の階段へと引きずり込もうとした。

翔太は、必死で抵抗したが、黒い影の力は強く、翔太の体は徐々に十三段目の階段へと引きずり込まれていく。

そして、翔太の体が完全に十三段目の階段へと引きずり込まれた時、翔太の視界は真っ暗になり、意識を失ってしまった。

次の日、翔太は、自分の部屋のベッドで目を覚ました。

昨日の出来事は、まるで悪夢だったかのように、現実感がなかった。

しかし、翔太は、自分の足首に、黒い影の痕が残っていることに気づいた。

そして、その黒い影の痕は、ゆっくりと動き出し、翔太の体全体へと広がっていった。

翔太は、恐怖で全身が震え、悲鳴を上げた。

しかし、その声は、誰にも届くことはなかった。

その日以降、その洋館では、誰もいなくなったと言われている。

そして、その洋館の階段は、決して数えてはいけない、という噂が広まったのだ。

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関連タグ: #声#夢#階段
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