主人公の高校生、翔太は、古い洋館に引っ越してきた。
その洋館には、奇妙な噂があった。
「決して、階段の段数を数えてはいけない」
翔太は、そんな噂を気にすることなく、好奇心から階段を数え始めた。
一段、二段、三段…。
十二段まで数えた時、翔太は奇妙な感覚に襲われた。
背後から、冷たい視線を感じたのだ。
しかし、振り返ってもそこには誰もいない。
「気のせいか…」
そう思い、再び階段を数えようとした時、翔太は信じられないものを目にした。
十二段目の階段が、ゆっくりと十三段目に変わったのだ。
翔太は、恐怖で全身が凍りつき、その場に立ち尽くしてしまった。
そして、十三段目の階段が現れた瞬間、翔太の耳に、かすかな囁き声が聞こえた。
「…数えてしまったのね…」
その声は、まるで老婆のような、低く、かすれた声だった。
翔太は、恐怖で悲鳴を上げそうになるのを必死で堪え、その場から逃げ出そうとした。
しかし、その時、翔太の足元に、黒い影が現れた。
その影は、ゆっくりと翔太の足を掴み、十三段目の階段へと引きずり込もうとした。
翔太は、必死で抵抗したが、黒い影の力は強く、翔太の体は徐々に十三段目の階段へと引きずり込まれていく。
そして、翔太の体が完全に十三段目の階段へと引きずり込まれた時、翔太の視界は真っ暗になり、意識を失ってしまった。
…
次の日、翔太は、自分の部屋のベッドで目を覚ました。
昨日の出来事は、まるで悪夢だったかのように、現実感がなかった。
しかし、翔太は、自分の足首に、黒い影の痕が残っていることに気づいた。
そして、その黒い影の痕は、ゆっくりと動き出し、翔太の体全体へと広がっていった。
翔太は、恐怖で全身が震え、悲鳴を上げた。
しかし、その声は、誰にも届くことはなかった。
…
その日以降、その洋館では、誰もいなくなったと言われている。
そして、その洋館の階段は、決して数えてはいけない、という噂が広まったのだ。
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