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ヒトコワ

鬼笑いの語り部さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

深夜の踏切 – 開かずの踏切 –
短編 2025/03/25 09:57 430view

主人公の大学生、健太は、深夜のアルバイトを終え、終電を逃してしまい、仕方なく最寄りの駅から自宅まで、人気のない夜道をトボトボと歩いていました。

その途中、健太は、普段は通らない、少し遠回りになる道を通ることにしました。

その道には、深夜になると開かずの踏切があるという噂があり、健太は少しだけ興味本位で、その踏切を通ってみたくなったのです。

深夜の踏切は、シーンと静まり返り、街灯の光だけが、線路をぼんやりと照らしていました。

健太は、少しだけドキドキしながら、踏切を渡り始めました。

すると、踏切の中央付近に差し掛かった時、健太の耳に、かすかな音が入ってきたのです。

それは、まるで誰かが泣いているような、すすり泣くような音でした。

健太は、恐怖で全身が凍りつき、その場に立ち止まってしまいました。

そして、ゆっくりと周囲を見回しましたが、そこには誰もいません。

「…気のせいか…」

そう思い、再び歩き始めた時、今度は、さっきよりもはっきりと、すすり泣く声が聞こえたのです。

健太は、恐怖で心臓がドキドキしながらも、必死で冷静さを保とうとしました。

そして、意を決して周囲を見回した時、健太は、信じられないものを目にしたのです。

それは、線路の上に、うずくまって泣いている、黒い人影でした。

その人影は、まるで子供のように小さく、すすり泣きながら、線路を見つめていました。

健太は、恐怖で悲鳴を上げそうになるのを必死で堪え、その場から逃げ出そうとしました。

しかし、その時、踏切の遮断機が、ゆっくりと下がり始めたのです。

健太は、恐怖で全身の血の気が引き、その場に立ち尽くしてしまいました。

そして、踏切の遮断機が完全に下りた時、健太の目の前に、信じられないものが現れたのです。

それは、線路の上に立っている、黒い人影でした。

その人影は、ゆっくりと健太に近づき、そして…

その後のことは、誰も知りません。

しかし、その日以降、その踏切は、深夜になると必ず遮断機が下り、電車が通らないにも関わらず、開かなくなったと言われています。

そして、その踏切を通る人は、決して線路を見てはいけない、という噂が広まったのです。

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