「んん?元気だが・・・」(なんだ? 妙に引っかかる言い回しだな・・・)
「あ、もう部長じゃなかった。ついクセで・・・ははは」
「部長じゃない?・・・どういうことだ?」
「えっ、どういうことって、佐山部長、2年前に定年退職なされたじゃないですか。
・・・あっ、わかった、もしかして再雇用制度の応募に来られたんですか??」
「なんだって?」
自分はしばし茫然とした。(自分が定年退職をしたというのは本当なのか?・・・ではなぜ何も覚えていないのだ? 自分は何か病気にでもかかっているのだろうか・・・いや、それにしても自分の意識はこんなにハッキリしている。昨日のこともハッキリ思い出される。なのに・・・まるでキツネにつままれたよう、とはこのことだ)
私はふらふらと会社玄関のドアへと向かった。しかし、ドアは開かない。
「あぁ、ほら、佐山さん、会社もIDカード導入して、カードがないと入れないシステムになったんですよ」
「なんだって?」・・・もう気を失いそうだ。
山田さんが問う。
「あのぅ~、それで今日はどんな御用でおいでいただいたんでしょうか・・・」
「そうだ、小林君はいるか?私の部下の・・・」
「小林部長ですね、ちょっとお待ちください、今電話しますので」
山田さんは携帯を出し、電話をかけた。
「あ、もしもし山田です。小林部長、あ、おはようございます。ええ、佐山さん、また来てますけど、いかがいたしますか?・・・はい、了解しました」
山田さんはこっちこっちと手招きし「小林部長がすぐ降りてこられますから、エントランスでお待ちください」そう言ってドアを開けてくれた。
しばらく待っていると、小林君が降りて来た。
「いらっしゃい、佐山さん。また来られたんですね」
「おぉ、小林君、いつのまにか少し貫禄が付いてきたな」
「佐山さんこそ、お元気そうで何よりです」
「今朝はおかしなことばかりだよ、今日は会議のある重要な日だというのに」
「会議はありません」
「え?」
「佐山さん・・・よく思い出してください。あなたは今から4年前にここを定年退職してるんですよ。・・・そして、毎年この時期になるとこうして会社にやってきては会議だとか・・・ちゃんと治療はされているんでしょうか? 心配ですよ、佐山さん」
「え・・・そんな・・・」私は絶句した。
「家族の方にはもう連絡しましたから、もうすぐ迎えの方がいらっしゃると思いますよ」
「む、迎えが・・・来る・・・だと?」
kanaです。読んでくれてありがとうございます。
最近すっかり目がよわくなりまして、怪談ひとつ書くだけで視力が一気に落ちてしまいます。
ですので、これまでよりずっと遅いペースで書いていこうかな、とか思ってます。
たまーに見てやってください。
kanaです。ちょっと加筆しました。
ラストで死神が「今夜、お迎えにあがります」というセリフをより印象付けるため、
中盤で小林部長に「もうすぐ迎えの方がいらっしゃると思いますよ」と言われた後に
「む、迎えが・・・来る・・・だと?」という佐山さんのセリフを追加しました。
これで伏線がより強調されたかな、と思います。
あと、タイトルも買えてより強調しようかと思ったのですが、奇々怪々の規定で
投稿後はタイトル改変は禁止らしいので、このまま行きます。
※↑スイマセン、前の書き込み
買えて ✖
変えて 〇
コメント欄は書き直しできないのでここで訂正させていただきます。
タイトルもこのままで、いいですよ。
世にも奇妙な物語にありそう