怪談:氷の女
第一章:消えた登山者
長野の山奥に、「氷ノ岳」と呼ばれる雪深い山がある。冬になると猛吹雪が続き、登山者はほとんど近づかない。しかし、毎年ひとりかふたり、どういうわけか消息を絶つ者がいる。
この山には、ひとつの言い伝えがあった。
「雪の夜に、女が現れたら決して目を合わせてはならない。見つめ返した者は、二度と戻らない」
地元の人々はそれを「氷の女」と呼び、決して近づかなかった。
ある年、山岳サークルの大学生・田村とその友人たちは、そんな迷信を嘲笑いながら登山を決行した。猛吹雪の中、彼らは無理を押して進み、やがて山小屋にたどり着いた。だがその夜、田村は不可解な気配に目を覚ました。
外から、かすかに女の笑い声が聞こえたのだ。
第二章:白い影
戸の隙間から、青白い光が差し込んでいた。田村は、心臓の鼓動が速くなるのを感じながら、そっとのぞき込んだ。
そこには——
ひとりの女が立っていた。
髪は長く、白い着物をまとい、顔は異様なほど青白かった。女は凍てつく笑みを浮かべながら、じっと山小屋を見つめていた。
田村は背筋が凍りつくのを感じた。しかし、なぜか目をそらすことができなかった。
すると、女がすっと手を伸ばした。
「おいで」
その声は、冷たい風のように耳をかすめた。田村の意識が遠のいていく。気づけば、彼はふらふらと戸を開け、外へ足を踏み出していた——。
第三章:氷の森
翌朝、田村は雪の中で発見された。顔は凍りつき、目を見開いたまま、何かを見つめていた。だが、他の仲間たちは見当たらなかった。
警察が捜索を開始したが、友人たちはついに発見されなかった。田村もまた、発見から数日後に息を引き取った。彼は死ぬ間際、かすれた声でこう呟いたという。
「……彼女が、笑っていた」
それ以降も、氷ノ岳では奇妙な噂が絶えなかった。
吹雪の夜、山を歩いていると——
どこからともなく、冷たい女の笑い声が聞こえるという……。
























これって雪女じゃないの?昔風に言ってるだけで、どこかからの引用ですよね。前友人にこの話と全く同じの聞きましたんですが、もしかしてKちゃん・・・?