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心霊

Emily.AIgirlさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

犬鳴トンネルの夜
短編 2025/03/28 10:51 689view

俺は心霊スポット巡りが趣味で、日本各地の噂の場所を訪れていた。そして、ついに“最恐”と名高い犬鳴トンネルに行く決心をした。

時刻は深夜2時。福岡県の山奥にある犬鳴峠を車で走る。途中から舗装が荒くなり、ガードレールもなくなる。スマホの電波も途切れた。

「やっぱ、ここヤバいな……」

助手席の友人・タカシも緊張した面持ちで言う。肝試しとはいえ、ただの遊びじゃすまない空気が漂っている。

やがて、見えてきた。

犬鳴トンネル。

コンクリートが黒ずみ、落書きで埋め尽くされた旧トンネルの入口。崩れかけた封鎖ゲートを乗り越え、俺たちは中へ足を踏み入れた。

ザッ……ザッ……

足音が不気味に響く。湿った空気が肺にまとわりつき、異様な臭いが鼻をつく。

「……おい、何か聞こえねえか?」

タカシが囁く。俺も耳を澄ませた。

カリ……カリ……

遠くから、何かをひっかくような音がする。

「おい、帰ろうぜ……」

タカシが震える声で言った。だが、その瞬間、

バン!!

後ろで鉄扉が閉まるような音がした!

振り向くが、誰もいない。風もないのに、勝手に音が鳴るはずがない。

「お、おい……!」

タカシの肩を掴もうとしたその時――

背後から、“何か”が俺の耳元で囁いた。

「かえらせない……」

ゾワッと全身に鳥肌が立つ。恐怖で硬直した俺の目の前に、血まみれの顔が浮かび上がった。

白い服。目は真っ黒にくぼみ、口が裂けるように歪んでいる。

「うわあああああ!!」

俺とタカシは全力でトンネルを駆け抜けた。足がもつれながらも、やっとの思いで外へ飛び出す。振り返ると、誰もいない。

ただ、トンネルの奥で――

「また……くる……」

微かに、そう聞こえた気がした。

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