奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

miyaさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

金貸しの日常
長編 2025/01/04 22:29 21,077view
1

他所は知らないが、ウチの会社は「担当制」だ。神崎さんには神崎さんの顧客、他の先輩方にもそれぞれ自分の顧客が居る。

客が電話を掛けてきてそれを対応した時や、自分で見つけてきた人などが自分の顧客になる。

他にも組長、若頭が「こいつに金を貸せ」と紹介して下さった際も、その時担当した人が顧客になる。

・・・つまり毎月自分の顧客からお金を回収できなければ、きつい罰が待っている・・・。

今日は神崎さんの顧客が2件、入金が遅れているので取り立てに行く。

1件目は田中さん(仮名・50代・男性)で、ボロいアパートの一室に住んでいる。

玄関の呼び鈴を押すが返事はない・・・

俺「留守・・・ですかね?」

神崎さん「そんなわけねぇ・・・待ってろ」

と言い、大家さんに鍵を借りてきた。(昔は色々と緩かった)

鍵を開けて部屋を開けると、今でいうゴミ屋敷状態だった。

神崎さんは土足で部屋に入り、「おい、こっちだ。見ろ」と俺を呼んだ。

見てみると、ゴミの中に中肉中背の男性が明らかに泥酔状態で寝ている。

いきなり神崎さんは田中さんの耳を掴み、「おい!てめぇ!!ふざけてんのか!!!」と一喝。

慌てて目を覚ました田中さんはその場に土下座し、「すいません!お金ありません!!」

と開口一番に言った。

「あぁ!!?じゃあ何で昼間っから酒飲んで寝てんだお前ぇぇぇぇ!!!!」

とアパート中に響くような怒号が鳴り響いた。

アルコール中毒の末路・・・と言った感じか。

日雇いに一応は出るが、その日の酒代に使い切ってしまうという負のループおじさんらしい

当然ウチへの借金は日々膨らみ続けている。利息だけ払えば、今月は凌ぐ事は出来るが・・・。

神崎さん「おめぇ今いくら持ってんだ?」

田中さん「・・・・925円です。」

神崎さん「・・・今すぐここの現場に行け!2日待ってやるから死ぬ気で稼げ!!」とどこかの地図を渡した。

2/5
コメント(1)
  • ヒトコワですね
    暴対法もない時代は仕事もしやすかったでしょうね
    今は闇バイトの元締めなど考えて稼がないといけないので、
    アウトサイダーの人たちも大変でしょう

    2025/01/06/16:09

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。