他所は知らないが、ウチの会社は「担当制」だ。神崎さんには神崎さんの顧客、他の先輩方にもそれぞれ自分の顧客が居る。
客が電話を掛けてきてそれを対応した時や、自分で見つけてきた人などが自分の顧客になる。
他にも組長、若頭が「こいつに金を貸せ」と紹介して下さった際も、その時担当した人が顧客になる。
・・・つまり毎月自分の顧客からお金を回収できなければ、きつい罰が待っている・・・。
今日は神崎さんの顧客が2件、入金が遅れているので取り立てに行く。
1件目は田中さん(仮名・50代・男性)で、ボロいアパートの一室に住んでいる。
玄関の呼び鈴を押すが返事はない・・・
俺「留守・・・ですかね?」
神崎さん「そんなわけねぇ・・・待ってろ」
と言い、大家さんに鍵を借りてきた。(昔は色々と緩かった)
鍵を開けて部屋を開けると、今でいうゴミ屋敷状態だった。
神崎さんは土足で部屋に入り、「おい、こっちだ。見ろ」と俺を呼んだ。
見てみると、ゴミの中に中肉中背の男性が明らかに泥酔状態で寝ている。
いきなり神崎さんは田中さんの耳を掴み、「おい!てめぇ!!ふざけてんのか!!!」と一喝。
慌てて目を覚ました田中さんはその場に土下座し、「すいません!お金ありません!!」
と開口一番に言った。
「あぁ!!?じゃあ何で昼間っから酒飲んで寝てんだお前ぇぇぇぇ!!!!」
とアパート中に響くような怒号が鳴り響いた。
アルコール中毒の末路・・・と言った感じか。
日雇いに一応は出るが、その日の酒代に使い切ってしまうという負のループおじさんらしい
。
当然ウチへの借金は日々膨らみ続けている。利息だけ払えば、今月は凌ぐ事は出来るが・・・。
神崎さん「おめぇ今いくら持ってんだ?」
田中さん「・・・・925円です。」
神崎さん「・・・今すぐここの現場に行け!2日待ってやるから死ぬ気で稼げ!!」とどこかの地図を渡した。
ヒトコワですね
暴対法もない時代は仕事もしやすかったでしょうね
今は闇バイトの元締めなど考えて稼がないといけないので、
アウトサイダーの人たちも大変でしょう