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妖怪・風習・伝奇

田沼縷縷さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

訛り村
短編 2024/11/16 21:24 142view

これは私が小さな頃に読んだ書き置きの話です。
もしもこれを読んでいる方の中に訛りが強い方がいらっしゃったら気を悪くされるかもしれません
しかしこれは私のぬぐい切れないトラウマであり、どうしようもなく現実の話なのです。
それでは、どうかお聞きください。
「訛り村」

どなたが読んでいるか分かりませんが、語らせていただきたく思います。
私は関西の山奥にある村の農家に生まれました。少し貧しかったものの、小さな村だったので各家庭で助け合い、生き生きと健やかに育っていきました。
この頃不思議に思っていたのは、学校で友人と話す関西弁と村での訛りに違いがあったことです。
大まかなイントネーションなどは同じなのですが、変なところが違いました。

学校では年下にはタメ語を使いますが、村では未成年に敬語でした。
しかし、些細なことだと捉えてあまり気にしたことはありません。
16で村を出て、県外の高校に下宿しました。

おかしさに気づいたのは19歳になって、村に帰った時でした。
帰った時に私への言葉が敬語でなくなっていました。
特におかしいと感じることもなく、少し違和感を感じる程度でした。
私は関東の大学への進学が決まったことを伝えると、
夜、村全員揃っての宴会を開いてくれることが決まり、それまでは自由時間と言われました。
自由時間といっても小さな村。やることがないので同級生にでも会おうと思い家を訪ねようと思い立ちます。

同級生、親友、幼馴染とも言えるであろう人物は2人いました。便宜上AとBとします。
最初にAを訪ねましたが、どうやら留守のようでした。
少し残念ながらにBを訪ねると、Bは嬉々として出迎えてくれました。
どうも違和感を感じます。
確かにBも親友だったのですが、これほど溌剌とした人物ではありません。
どちらかというと教室の隅で本をよんでいるイメージが強いです。
しかし人間3年で変わるだろう、ということで気には留めませんでした。
家に上がり、5畳ほどのBの部屋で昔話をして楽しんでいました。
そんな中、どうしてもAの話になります。
私がAについて問うた時、Bは限って石を舐めていました。そして決まってはぐらかします。
Bに限らず、村の大人は皆昔から1人ひとつ石を持ち、何かあった時に舐めていました。

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