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心霊

田沼縷縷さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

キリキリバチンのウェブブログ
短編 2024/12/03 09:26 520view

私は見知らぬ人のブログを読むのが好きでした。
他人の幸福を見て幸せをお裾分けしてもらおうなんてことじゃありません。
それを叩く事に快楽を覚えていました。
不幸があればそれを嘲笑い、幸福があればそれを攻撃する。
そんな私に、バチが当たったのでしょう。

いや、とばっちりとも言えますね。
まぁ、あんなものを見た私が悪いのですが。
それではお聞きください。
「キリキリバチンのウェブブログ」。

2016年の夏。廃れてきていた個人ブログを叩いて幾度も閉鎖へ追い込んだことのあった私その日も獲物を探してネットサーフィンをしていました。

そんな中目に入ったのは、文字化け5文字のブログでした。
「縺ョ繧阪>の日々ブログ」。
なんと読むかわからないそのブログに興味が湧いてしまったのです。
開けてみれば案外長い間動いているブログのようで、遡れば2010年までを見ることができました。
最初の投稿らしきものには、顔がスタンプで隠された幸せそうな3人家族の写真と共に、明るげな挨拶と日記が書かれていました。
適当な文言を入れて攻撃し、どんどん最近へと近づいていきます。
ブログが2013年くらいになった頃、擬音が増えました。
初めてみたのは、「コンコン」だったでしょうか。
次に、「ドンドン」「ガタガタ」「ドスドス」
と続いて行きました。少し怖くなって、そのページを閉じ眠りにつきました。

その日の深夜。訪問者がありました。
チャイムがあるにも関わらず家の戸がノックされ、怪しく思い覗き穴を見るも何も写りません。
窓が、揺らされました。続いて壁が叩かれました。
あの時は頭も回らず、考えもしませんでしたがあのブログの擬音通りになっていました。

あれほど怖い思いをしたのに不思議とあのブログに引き込まれてしまいました。
「びしゃびしゃ」の日には雨漏りし、「ガタガタ」の日には地震が起こりました。
ある日、珍しい擬音が出てきました。
「キリキリ、バチン」
何が起こるのだろう。すこし、わくわくしてしまいました。
キリキリ、バチンと聞こえるだけで何も起こりませんでした。
ただ、少しづつ音が近づいてくるくらいでした。

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