俺の母ちゃんから聞いた話。
先に言っとくけど、怖い話じゃないかも。どちらかといえば昔話に近いかな。
母は九州O県の県南、石灰の採掘で栄えた町の生まれだった。
結婚して隣町に腰を据えたけど、仕事の都合で週一回くらい爺ちゃん家に行ってたんだ。
俺も妹もそん時はまだ小さかったから一緒に車に乗ってさ、石灰の採れる山を見てたんだよね。
母が言うには、とにかくその山ってのが大きかったらしい。その町のシンボルっていうのかな。
今はもう見る影もないけど、それぞれ名前がついていて、町の人たちからも大事にされてたんだってさ。
石灰の産出が大掛かりになった昭和中期くらいの話だと思うんだけど、その頃採掘するのにダイナマイト使ってたみたいでさ。
小学生だった母親の通ってた学校ってのがその採掘場の近くだったんだって。
だからダイナマイト使う時って、その近辺に知らせるためにサイレンが鳴らされてさ。校庭のグラウンドに避難誘導されてたんだって。(そん時に事故かなんかあったらしくて、今でも石碑は残ってたはず)
ある時、その二つある鉱山の どっちかの山に鍾乳洞見つかったんだって。
結構、大規模っていうのかな。とにかく綺麗で、デカくて湖もあったんだってさ。
町は、「この鍾乳洞を残す派」と、「このまま石灰の採掘を続ける派」で意見が分かれてさ。
どっちかというと、「残す派」が優勢だったらしいけど、結局負けちゃって鍾乳洞は潰すことになった。
んで、その鍾乳洞が潰される前に一目見ようと思ったんだろうね。
当時、母の同級生の男の子達がその鉱山に無断で入って行っちゃったんだって。
すぐに発覚して、全員大目玉食らったらしいけど。その男の子達が口をそろえて
「鍾乳洞の湖の中で大きい黒い何かがいた」
って言ってたんだって。
まぁ、結局のところその鍾乳洞も無くなっちゃったから、今となっては調べようもないんだけどね。
その町も小さい町だからさ。子供さんも少なくなって、その小学校も中央の小学校に併合されることになったんだ。
取り壊しのために、その小学校の備品とか片づけてたら、理科室からホコリかぶった変な生き物の剥製が出てきたんだって。
片づけてた人たちも、みんなその謎の生き物の正体が分からなくってさ。
地元の人たちの話によると、結構昔に捕らえられた大ウナギの剥製だったらしい。
母ちゃんもそのウナギの剥製のことは知ってたみたいでさ、
「そういえば昔、男の子達が見たって言ってた鍾乳洞の中の生き物も、大ウナギだったのかもねぇ」
って懐かしそうに言ってたよ。
その後、俺はデイサービスに行ってた爺ちゃんのお迎えに行ったんだ。
その頃の爺ちゃんは、もうだいぶん認知が進んじゃってて、’うつらうつら’としてることが多かった。

























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