10代の頃、友達とスキーに行きました。
高校の冬休みなので、ハメをはずして、スキー場に泊まりに行こうということになりました。
駅に到着すると、スキー場から大きなバスが迎えに来ていました。
バスはどんどん山の方へと向かいます。
途中、おかしなことに気がつきました。
道路にポツンと女性が1人立っていたのです。
スキーのウェアを着ていて、スキー板も持っています。
バス停でもないし、車がとまれるスペースがあるわけでもない場所にどうして立っているのか。
周囲には民家もなく、ただただ真っ白な銀世界が広がるだけ。
「大丈夫なのかな?こんな所に立っていて」
女性はバスを呼び止めるわけでもなく、ジッと立っているだけで動こうともしません。
「なんだか気持ち悪いな」と思い、見なかったことにしようと思いました。
スキー場に着くと、たくさんの人が滑りに来ていました。
「おお、さすが大手の会社がやってるだけのスキー場だな」と関心するほど、人がいっぱいです。
「じゃ、滑りますか」とゴンドラに乗り込むと、私たちは頂上を目指します。
頂上に到着すると、きれいな自然の景色が一望できます。
「おお!すごいね。ここに来てよかった」と思いました。
滑り出すと、またいい雪質ですいすいと滑れるんです。
「今日は本当に当たりだね」
「ほんと、今日は夜も滑ろうよ」
と、私たちは意気投合。
たっぷりとすべることにしました。
友達は「先に行くね」と手を振って、スーッと滑っていきます。
かなり上手く、グイグイとその差を広げていくんです。
「あんなふうに滑れたいいな」と思う私。
そのときです。
ふと私の前にスキーを滑る女の人が現れました。
「すごいうまいな」と見ていると、「あれ?あの人、道路に立っていた人じゃない?」と思ったのです。
どう見ても、道路に立っていた人と同じ服だし、ヘアスタイルです。
「もうスキー場に来てたんだ」
そんな女の人が目の前でスッと消えてしまいました。
「え?!消えた?嘘でしょ」
でも、本当に、まるで幽霊のように消えてしまった。
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