【強行遠足事件】-女子高生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
バスケ部主将「やつのことだ、ゴール寸前で我々を一気に抜き去って絶望させようと」
陸上部主将「な、なんてやつだ朽屋・・・恐ろしい子・・・」
・・・・・・
そんな噂になっているとは露知らず、朽屋一行はゆっくり歩いて、とある橋に差し掛かった。橋の下は谷になっており、下を覗くと5~6メートルほど下に小さな川が流れていた。
「ちょっと待って、ルコちゃんアレ!」頼子が指を差した先には事故車らしきクルマがあった。反対車線の道路の、ちょうどガードレールの無くなっている部分から崖下まで一気に落ちた・・・そんな風に見えた。クルマは岩に激突しており、前部はかなりひしゃげていた。
白鳥「うっわ、事故!?」 亀井「・・・(まだ中に人いるのかな)・・・」
事故車を眺める二人。だが、朽屋と頼子の二人には別なものも見えていた。
事故車の横にガイコツのような姿で『こっちへ来い』と手招きしている亡霊がいる。
「アレはどうやら道連れを欲しがっているようね」頼子がそう指摘した。
「今のうちに片付けておかないと、そのうち誰かが犠牲になるかもしれないね。
・・・じゃあちょっくら下まで降りてみますか!」と朽屋。
「大丈夫ルコちゃん、私も行く!」
「いや、頼子ちゃんはここに残ってバックアップよ。体を使うのは私、頭を使うのはあなた、ヤクワリブンタン♪ヤクワリブンタン♪」
「wwwなんの歌よそれ」頼子がウケる。白鳥も亀井も笑う。
急な坂になっている所を、器用に木の枝などを掴みながら徐々に崖下に降りていく朽屋。
「すごいなぁ、朽屋先輩・・・怖くないのかな?」白鳥が尊敬のまなざしで朽屋を眺める。
頼子「アレはきっと前世はおサルさんなのよ」笑う三人。
下に降りた朽屋がクルマの運転席を覗き込み、頼子に向けて手をバッテンにして見せた。
「白骨遺体発見!!警察に連絡を!!」朽屋が叫ぶ。
「ええっ!!」驚いてみんなが崖下の朽屋を覗き込む。
「きゃっ!!」「わぁっ!」白鳥の足元の石が崩れ、急坂を滑り落ちて行く。つられて一緒に亀井もバランスを崩し、しりもちをつきながら滑り落ちた。
「うわぁぁ、アブナイ」朽屋が白鳥らを受け止めに走る。
「大丈夫ーーー!?三人とも!!」崖の上でひとり助かった頼子が三人に声をかける。
「大丈夫でーす!!」白鳥が大きな声で返事をしようとしたが、その瞬間、真っ黒な闇が三人を覆い、見えなくしてしまった。
「結界!!」頼子は危険を感じて後ろへ飛び退いた。
「ダメだ・・・私まで飛び込んで出られなくなったら助ける人がいなくなる。ここからなら山の上の教会が近いはず。そこまで行ってルーカ神父を応援に呼ぼう」
頼子は走ることにした。(※大会はスマホ禁止なので電話連絡ができない)
・・・・・・
真っ暗な空間・・・「あれ?・・・なに?急に夜になったの?」白鳥の声がする。
「みんな、無事?」朽屋の声がする。
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。