【強行遠足事件】-女子高生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
「だ・・・大丈夫です」亀井だ。
だんだん目が慣れてきて周りが見えるようになってきた。
明るい太陽の下から急に暗い室内に入るとしばらく何も見えないのと同じで、
急に暗闇に入ったことで一瞬何も見えなくなっていただけだった。
白鳥「怖い~~なんで急に夜になったの?」
朽屋「落ち着いて。まずパニックにならず、現状を冷静に受け止めることからするのよ」
亀井「わ、私たちは崖下に落ちたはずなのに、ここは崖下ではなく平地です。い、いったいどこなのでしょう?・・・」
朽屋「心配しなくて大丈夫よ、二人とも。私にはなんとなくわかってる。それに、今頃は頼子ちゃんが助けを求めに走ってる頃よ。彼女を信じましょう」
「ハイ」
「ハ、ハイ」
亀井「く、朽屋先輩、あっちに火が見えます・・・」
朽屋「・・・だね。行ってみようか」
白鳥「うぅ・・・それにしても・・・なんだか少し寒くない?」
朽屋「確かにね。みんなウインドウブレーカー着込んで」
亀井「く、朽屋先輩・・・見てください・・・」そう言って亀井は空を指さした。
朽屋「なに?」
亀井「ち、地平線に沿って二つの明るい星が見えます・・・左のがこいぬ座のプロキオン、そして右の明るいのがおおいぬ座のシリウスです」
朽屋「へぇ~亀井さんって星座とか詳しいんだ~。乙女チックやないか~」
亀井「でへ・・・その・・・さらに右斜め上に三ツ星ベルトがならんでるのがオリオン座で、その少し上にある大きなV字に見えるのがおうし座のツノで明るいのがアルデバラン、そこから左上に行って五角形に見えるのがぎょしゃ座で一番光ってるのがカペラ。今度はそこから左下に下がると、縦に二つ星が並んでますよね?」
朽屋「う、うん・・・並んでるね」
亀井「それがふたご座の頭のカストルとポルックスです」
朽屋「ふ~~~ん、すごいね亀井さん、よく知ってるね~!!為になるわ~」
白鳥「つまり、なんなのよ、星座の知識をひけらかしたかったわけじゃないんでしょ?」
朽屋「白鳥さん、言い方~~」
白鳥「す、すいません・・・はしたない・・・」
亀井「つまり・・・この星座の明るい星を結んだ線の事を『冬の大六角形』と呼び、これだけ空気が澄んでよく見えるには、11月くらいにならないと無理なはずです・・・」
白鳥「じ、11月ぅぅ~?だって、今6月でしょ?これから夏になるっていう・・・」
朽屋「なるほどね。亀井さん、情報ありがとう。キミ博学だねぇ」
亀井「星が好きで・・・へへ」
白鳥「何よそれ・・・いったいなにが起こっているの?」
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。