【強行遠足事件】-女子高生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
こうして朽屋一行はほぼ最後尾の位置にいた。
その頃スタート位置に近い先頭集団では・・・
バスケ部主将「オイ、朽屋はどこだ?先頭集団にいないぞ?」
陸上部主将「トップを狙うなら必ずこの中にいるはず!!」
卓球部員「オーイ!!朽屋がいたぞー!最後尾にいる!!」
ΩΩΩ「な、なんだってーーー!!」
バスケ部主将「くっそぅ、朽屋め、そう来たか・・・」
陸上部主将「なんだ?何か策でもあるというのか?」
バスケ部主将「たぶん、最後尾から出発して、全員をごぼう抜きにして楽しむつもりだ!!」
陸上部主将「な、なんてやつだ朽屋・・・恐ろしい子・・・」
貴澄頼子「ルコちゃん、さんざんな言われようね。私も最後尾に行こうかしら」
やがてスターターピストルが鳴り響き、一斉に出発しだした。
先頭集団の運動部たちは、これがラストスパートかというようなスピードで駆け出す。
陸上部主将「いいか、周りの速度に惑わされるな!作戦通りのペース配分だ!」
ΩΩΩ「ハイ!!」
貴澄頼子「さっすが運動部。目つきが違うわ」頼子はペースを落とし、朽屋たちを待つことにした。運動部員たちが走り去り、一般生徒の中で走るもの、歩くものとさまざまな集団が通り過ぎ、やがて最後尾についていた朽屋たち一行があらわれた。
「おーいルコちゃーん」
「わーお、頼子氏待っててくれたの~?」
「もつべきものは友達でしょ?呉越同舟、一蓮托生よ」
「うーん、なんとなく微妙に意味違うような気もするが・・・ま、いいか」
4人が一緒に歩くことになった。
一番遅い亀井静香の速度に合わせ、なにげない会話をしながら歩いて行く。
昨年、全員をぶっちぎって1位を取った朽屋は、実はその時のことを少し後悔していた。
ぜんぜん楽しくなかったのである。ただ勝ち誇っただけで、誰から褒められることもなく、
運動部からは目を付けられるし、スカウトされるのも面倒くさいしで散々だった。
今年も返り討ちにしてくれようなどと思っていたが、こうして友達と歩きながら、景色を見ながらの遠足は学生らしくて満足していた。朽屋は今、楽しんでいる。
反面、トップ集団はざわついていた。
陸上部主将「こないな・・・朽屋・・・」
剣道部主将「あぁ、今年は不調なのか?」
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。